2017年03月

2016年末に定年退職しました。 このブログでは、埼玉県比企郡鳩山町を中心にした植生写真を掲載します。 その他、その地誌、趣味の木工、旅行、お酒にも触れます。

石坂の森:モミジイチゴの開花!!!!!クサボケの蕾!!!

 本日は、石坂の森~市民の森~見晴らしの丘~石坂の森のウォークしました。
本日の森は、行き違う人も無く静かな森を呈していました。
ウォーク終わり頃には、ポツポツ空から雨滴が降りてきていました。


 森の中も冬の色合いから、徐々に色彩のある景観に代わってきています。
本日は、開花状態の木なりのイチゴ、すなわちキイチゴ属を見出しました。
Photo. 1 に示します。
おそらくモミジイチゴかと推定されます。
まだ葉の展開が不完全ですので、完全になってから特定をしたいと考えています。
清楚な花も魅力がありますが、葉色とともに形状も極めて人をひきつけます。


バラ科>キイチゴ属>モミジイチゴ
[学名]:Rosaceae Rubus palmatus var. coptophyllus
[和名]キイチゴ[#3]


1) 
Rosaceae は、バラの科名です。
2) Rubusは、キイチゴの属名です。 ラテンの古名から。恐らく ruber(赤)から出ていて、赤い果実がなることを意味していよう。バラ科キイチゴ属。」[#1]
3)
 palmatus は、「掌状(しょうじょう)の [#2]という意味の種小名です
4) 
var. coptophyllus は、「分裂葉の」[#2]という意味の変種名です。



DSC_0251
Photo. 1  石坂の森モミジイチゴ
Rosaceae Rubus palmatus var. coptophyllusと推定


 石坂の森にて、クサボケを見だしました。
開花前の蕾でした。
Photo. 2 をご覧ください。


バラ科>ボケ属>クサボケ
[学名]:Rosaceae Chaenomeles japonica
[和名]:シドミ、ノボケ、コボケ、ジナシ[#3]
[漢名]:日本木瓜[#3]

1) Rosaceae は、バラの科名です。
2) Chaenomeles は、ボケの属名です。「chaino(開ける)+melon(リンゴ)。裂けたリンゴの意で、熟した果実に裂け目が出来るため。バラ科ボケ属。」[#1]
3) japonica は、日本のという意味の種小名です


IMG_20170328_155755IMG_20170328_155817

Photo. 2  石坂の森クサボケ
Rosaceae Chaenomeles japonica
左:開花手前の蕾、右:左と同一の個体の蕾ですが色合いの異なりにご注目


参考文献

[#1]: "属名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm#[D] 
[#2]: 
"種名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm
[#3]: 跡見学園大学. 跡見群芳譜. http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web01/Flower%20Information%20by%20Vps/Flower%20Albumn/ch2-trees/aoki.htm

石坂の森:春蘭咲いてます!!!!!、岩殿観音:ベニシダ新芽猛々し!!!

 昨日は、石坂の森~岩殿観音~市民の森~石坂の森のウォークしました。


 岩殿観音(正法寺)境内で見られましたベニシダと推定される新芽が成長してきました。
Photo. 1 に示します。
シダ植物の新芽は、3月24日の写真よりいっそう猛々しさを感じ春らしさを演出してくれています。


オシダ科>オシダ属>ベニシダ
[学名]:Dryopteridaceae Dryopteris erythrosora


1) 
Dryopteridaceae は、オシダの科名です。
2) Dryopterisは、オシア属の属名です。 ギリシャ語のdry(カシ)+pteris(シダ)。カシノキに着生(ちゃくせい)するシダの意から。オシダ科オシダ属。」[#1]
3)
 erythrosoraは、「赤色の胞子嚢群(嚢堆)のある [#2]という意味の種小名です

DSC_0189DSC_0225
DSC_0226

Photo. 1  岩殿観音(正法寺)境内のシダ植物の新芽ベニシダ
Dryopteridaceae Dryopteris erythrosoraと推定
上左:2017年3月24日、上右、下:2017年3月28日


 石坂の森にて、春蘭を見だしました。
Photo. 2 をご覧ください。
これは清楚な感じで

ラン科>シュンラン属>シュンラン
[学名]:Orchidaceae Cymbidium goeringii
[和名]:ホクロ、ホクリ、エクリ、アクリ、ジジババ[#3]
[漢名]:春蘭

1) Orchidaceae は、ランの科名です。
2) Cymbidiumは、シュンランの属名です。「cymbe(舟)+eidso(形)。唇弁の形に基づく。ラン科シュンラン属。」[#1]
3) goeringii は、「採集家ゲーリングGoeringという人名に因む、「Goering」+「-ii(人名に因む)」 [#2]という意味の種小名です

DSC_0233
Photo. 2  石坂の森シュンラン
Orchidaceae Cymbidium goeringii


参考文献

[#1]: "属名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm#[D] 
[#2]: 
"種名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm
[#3]: 跡見学園大学. 跡見群芳譜. http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web01/Flower%20Information%20by%20Vps/Flower%20Albumn/ch2-trees/aoki.htm

岩殿観音(正法寺)境内のアオキ花芽の展開!!! ベニシダ新芽!! スミレ、シロバナノヘビイチゴ、カントウタンポポ!

 昨日は、スイミングルーティンでした。
本日は岩殿観音(正法寺)、東松山市の市民の森、鳩山町石坂の森をウォークしました。
至る場所で、いっせいに植物が活動を開始し始めました。

特に、新芽の展開・開花の準備を目の当たりにして圧倒され感動しました。

ここでは、本日遭遇しました植物6例ご紹介いたします。

 Photo.1 をご覧ください。
これは正法寺(岩殿観音)境内のアオキの花芽の展開を示しています。
市民の森、石坂の森でもアオキの花芽が観測できました。
アオキのお花は、渋いのですがとても味わいがあって大好きです。
アオキは、雌雄異株です。
この写真は、雄株の花序と推定されます。
比較として、Photo. 2に実の付いている雌株の写真を示します。

 ところでこのアオキは、
植物分類学上極めてユニークな特徴を有しており、科名を3種類ほど持っています。
すなわち、アオキ科
(Aucubaceae)ミズキ科(Cornaceae)ガリア科(Garryaceae)の3種です。
これらの3種は、植物分類学の体系の差異に相応しています。
具体的には上記の科名は、それぞれ新エングラー体系、クロンキスト体系、APG植物分類体系での科名に対応しています。
エングラー体系は、単純な花の構造から複雑な構造の花というスキームでの分類のようです。
クロンキスト体系も、花の構造に基づきますが、標準的な花構造から非標準というスキームでの分類のようです。
他方
APG植物分類体系では、前2者とは全く異なり葉緑体のゲノム解析に基づく分類のようです。


ガリア科>アオキ属>アオキ
[学名]:
Garryaceae Aucuba  japonica
[漢名]:東瀛珊瑚(トウエイサンゴ)[#1]


1) 学名の
Garryaceae は、APG植物分類体系でのガリア科という科名です。
2) 
Aucuba は、アオキ属の属名です。「アオキバ(日本名の方言)から。アオキ属」[#2]
3) 
japonica は、日本産という意味の種小名です。


DSC_0164
Photo. 1  岩殿観音(正法寺)境内アオキ
Garryaceae Aucuba  japonica
雄株の花序であろうと推察されます


DSC_0196
Photo. 2  石坂の森アオキ
Garryaceae Aucuba  japonica
雌株の花序と推察されます


 
岩殿観音(正法寺)境内では、シダ植物の新芽が観測できました。
ベニシダの新芽と推察されます。
Photo. 3 に示します。



オシダ科>オシダ属>ベニシダ
[学名]:Dryopteridaceae Dryopteris erythrosora


1) 
Dryopteridaceae は、オシダの科名です。
2) Dryopterisは、オシア属の属名です。 ギリシャ語のdry(カシ)+pteris(シダ)。カシノキに着生(ちゃくせい)するシダの意から。オシダ科オシダ属。」[#2]
3)
 erythrosoraは、「赤色の胞子嚢群(嚢堆)のある [#3]という意味の種小名です


DSC_0189
Photo. 3  岩殿観音(正法寺)境内のシダ植物の新芽ベニシダ
Dryopteridaceae Dryopteris erythrosoraと推定


 岩殿観音から東松山市の市民の森へさらに石坂の森に出ると、春の野草が開花していました。
Photo. 4スミレ2種を示しました。

ニオイタチツボスミレタチツボスミレと推定されますが、スミレの特定は難しいので再度調査が必要かもしれません。

スミレ科>スミレ属ニオイタチツボスミレ
[学名]:Violaceae Viola obtusa

スミレ科>スミレ属タチツボスミレ
[学名]:Violaceae Viola grypoceras


またPhoto. 5には、シロバナノヘビイチゴカントウタンポポを示しました。
昆虫もすでに活動中です。

バラ科>オランダイチゴ属>シロバナノヘビイチゴ
[学名]:Rosaceae Fragaria nipponica

キク科>タンポポ属>シロバナノヘビイチゴ
[学名]:Asteraceae Taraxacum platycarpum


DSC_0178DSC_0182
Photo. 4 スミレ
左(石坂の森):ニオイタチツボスミレか?、右(市民の森):タチツボスミレか?


DSC_0184DSC_0186
Photo. 5 市民の森
左:シロバナノヘビイチゴ、右:カントウタンポポ



参考文献
[#1]: 跡見学園大学. 跡見群芳譜. http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web01/Flower%20Information%20by%20Vps/Flower%20Albumn/ch2-trees/aoki.htm
[#2]: "属名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm#[D] 
[#3]: 
"種名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm


石坂の森ーオオアラセイトウ、別名ショカッサイ、ハナダイコンとウグイスカグラ開花!!!!

 作日は、鳩山町石坂の森をウォークしました。
天気は朝から雨が降っていましたが、午後雨が上がったのをとらえてウォークしました。
石坂の森のパーキングが出発点でした。
 
 パーキングの付近で、オオアラセイトウ(大紫羅欄花)が開花していました。
この春初めての遭遇でした。
Photo.1 をご覧ください。
オオアラセイトウは、ムラサキハナナ(紫花菜)ショカッサイ(諸葛菜)ハナダイコン(花大根)とも呼ばれます。

アブラナ科>オオアラセイトウ属>オオアラセイトウ
[学名]:Brassicaceae Orychophragmus violaceus


1) 学名のBrassicaceae は、アブラナ科の科名です。
2) Orychophragmus は、オオアラセイトウ属の属名です。「ギリシャ語の Orycho オリュケー(穴・掘り出す)+ phragma フラグマ(隔壁・垣根)の合成語で、果実(莢)の隔壁部が 凹むことに由来/ショカツサイ属を表します」[#1]
3) violaceus は、紫紅色の、菫(すみれ)色の、「viola」=スミレ
[#2]という意味の種小名です。


DSC_0113
Photo. 1  鳩山町石坂の森オオアラセイトウ
Brassicaceae Orychophragmus violaceus
別名ムラサキハナナ(紫花菜)ショカッサイ(諸葛菜)
ハナダイコン(花大根)

 石坂の森の中では、ヤマウグイスカグラ(山鶯神楽)の開花が複数の個体で確認できました。
Photo. 2 に示します。
小さな花ですので、特に開花数が少ない時は見落とし勝ちです。
山鶯神楽という和名が、漢字も音韻もなんとも心地が良く好きな名称です。
この和名の語源は、基本的には不明のようです。
これに関しまして、面白い考察がありますのでご参照ください[#3]


スイカズラ科>スイカズラ属>ヤマウグイスカグラ
[学名]:Caprifoliaceae Lonicera gracilipes Miq.


1) 
Caprifoliaceae は、スイカズラ科の科名です。
2) Loniceraは、スイカズラ属の属名です。「ドイツの16世紀の数学者で採集家てもあった Adam Lonitzer の名をラテン語化したLonicerus から出た名。スイカズラ科スイカズラ属。」[#4]
3)
 gracilipesは、「細長い柄(脚)の、「足」は花茎(かけい)を指すと思われる、 「gracilis(細い、痩せた)」+「pes(足)」 [#2]という意味の種小名です。この意味をPhoto. 2でご確認ください。
4) 
Miq. は、オランダの植物学者であるFriedrich Anton Wilhelm Miquel(フリードリッヒ・アントン・ヴィルヘルム・ミクェル)を指しています[#5]

IMG_20170314_145021IMG_20170314_153344
Photo. 2  鳩山町石坂の森ヤマウグイスカグラ、
Caprifoliaceae Lonicera gracilipes Miq.
左:学名のgracilipesの意味をご確認ください。 右:ヤマウグイスカグラは、花・葉柄に毛が散生するのご特徴です。


参考文献
[#1] オオアラセイトウの花. http://blogs.yahoo.co.jp/master_horizondream50/64277262.html
[#2]: 
"種名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm
[#3]: 別府街角ウオッチング. ウグイスカグラの語源. http://www.ctb.ne.jp/~imeirou/soumoku/u/uguisukazura.html
[#4] "属名解説". 百科瞭然. http://www.geocities.jp/nonkihoke/ryozen/zokumeik.htm#[D]
[#5] "植物学者の略記一覧(M-R)". https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%81%AE%E7%95%A5%E8%A8%98%E4%B8%80%E8%A6%A7_(M-R)#P


北陸温泉紀行(その3)ー北陸地酒を多種飲みました!!!!!日本酒の味覚を調査しました!!!


北陸温泉旅行時には、日本酒を多種飲みました。
Table 1 に頂いた地酒を要約しました。
また、Photo. 1 にその写真を載せました。

Table 1  北陸温泉旅行で飲んだ日本酒:最上段の「浦霞」はわたしが愛飲している日本酒でレファレンスです
酒造名銘柄種類アルコール度日本酒度酸度原料米精米歩合
佐浦浦霞本醸造15+1~+21.3~1.4(不明)0.65
苗加屋琳青(不明)17~1801.7雄山錦0.55
琳赤(不明)17+31.5山田錦0.55
福光屋歴々純米14+10(不明)(不明)0.65

加賀鳶純米吟醸16+41.4山田錦60%,金紋錦40%0.6
桝田酒造満寿泉桝形15.8+51.5(不明)0.6
吉江酒造太刀山純米15.1+41.6(不明)0.6
立山酒造立山銀嶺普通酒15~16+4~+51.4~1.5(不明)0.7
吉田酒造手取川名流純米15.8+11.4山田錦、五百万石0.55
黒龍酒店九頭龍(黒龍)普通酒15+31.1五百万石0.65
数馬酒造竹葉純米16~17+12五百万石0.6
中村酒造加賀百万石造り純米大吟醸16~17+51.3山田錦0.5
鹿野酒造常きげん本醸造15.5+21.3美山錦0.6

常きげん純米15.3+11.5加賀五百万石0.6
伊藤酒造越の鷹純米(不明)+2~+4(不明)(不明)(不明)
眞名鶴酒造眞名鶴山廃純米15.5+11.5五百万石特等米0.6


IMG_20170301_144102IMG_20170303_170245IMG_20170226_113930IMG_20170228_104100IMG_20170301_113831
Photo. 1 日本酒:左から琳青、琳赤、歴々、加賀鳶、満寿泉
琳青、琳赤:富山駅中で購入し、琳青は帰りの車中にて飲みました。
歴々:金沢近江町市場の寿司店の歴々でいただきました。
加賀鳶:金沢近江町市場の寿司店の近江町市場すしでいただきました。
満寿泉:富山駅中の寿司店すし玉で飲みました。このとき太刀山もいただきましたが、写真を取り損ねました。

IMG_20170226_181253IMG_20170226_183748IMG_20170227_113902
Photo. 2 左から立山、手取川、九頭竜、竹葉、加賀百万石造り、常きげん(本醸造)、常きげん(純米)
立山、手取川、九頭竜:地酒飲み比べ(ゆのくに天祥)ー北陸日本海酒巡りコースーで飲みました。
竹葉、加賀百万石造り、常きげん(本醸造):地酒飲み比べ(ゆのくに天祥)ー能登・金沢・加賀酒紀行コースーでいただきました。
常きげん(純米):山代温泉の手打ち蕎麦屋さんの加賀上杉で飲みました。

IMG_20170227_175801IMG_20170227_175748
Photo. 3 左から越の鷹、眞名鶴
越の鷹、眞名鶴:芦原温泉のつるやさんでいただきました。


 これを契機に、少し日本酒の勉強をしてみました。
まず日本酒の数値指標としては、主としてアルコール度、日本酒度、酸度、精米歩合があります。
よく耳にする用語ですよね。

 まずざっくり、用語の定義をします。

Definition 1.
日本酒の成分であるエタノールの体積濃度をアルコール度と呼ぶ。
単位は、%です。

Definition 2.
日本酒の比重を p とします。
このとき、下記で与えられる数量 N日本酒度と規定する[#1]
N=(1/p-1)×1443.           [1]
Remark 1.
日本酒度とは、要は酒の比重値の相対値です。
日本酒が水の比重すなわい 1 と同一であれば、p = 1 ですから式[1]より N = 0 となります。
つまり、この場合は日本酒度 0 と規定されます。
p < 1 ならば N > 0、p > 1 ならば N < 0 となることは、明らかです。

Remark 2.
日本酒の成分としては、主として水分(重量濃度で78%)、メタノール(14~16%)、糖質(3~5%)です[#2]
これに、タンパク質(<1%)が付加されます。
上記の主たる3成分の比重は、それぞれ1, 0.79 [#3]、1.54(ブドウ糖 [#4])となります。
従いまして、ざっくり言いますと糖質が多ければ、日本酒の比重が大きくなり、よって日本酒度が減少するといえます。
ここで注意することは、日本酒度とは日本酒の糖質成分(重量濃度)の指標であるとどうやら考えてよいということです。

Definition 3.
日本酒10mlを中和するのに要する0.1N-NaClの容量 ml の数量 酸度と呼ぶ

Remark
日本酒中に存在する酸とは有機酸であり、醪(もろみ)中の酵母によって生成されるようです[#1]。
最も多いのはコハク酸で、ついでリンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸となります[#1]。
基本的には、酸度は日本酒の酸味を支配します。
しかし単純ではないのは、各有機酸で個別な酸味を持っていることです。
例えば、コハク酸は塩味・苦味・酸味を与えます[#5]
リンゴ酸は、爽快感のある酸味を出します[#6]
乳酸は、クセのない、やわらかみのある酸味を出します[#7]

Definition 4.
白米のその玄米に対する重量の割合を、精米歩合と呼ぶ[#1]。

Remark
米粒の外側に多く存在するタンパク質・脂肪は、
酒の雑味となります。
そのため、
上記成分は清酒造りの精米工程で除去されます。
精米歩合は、この除去の程度を指標します。
この数値が低い程、より高度に精米されていることになります。
例えば、本醸造酒70%以下、吟醸酒60%以下、大吟醸酒50%以下と規定されています。

 日本酒の風味を評価するのに、横軸に日本酒度、縦軸に酸度をとった2次元平面上にプロットする手法がよく使用されます。
これを、日本酒度 vs. 酸度プロットと呼ぶことといたします。
今回の北陸旅行にて賞味しましたTable 1の日本酒(
北陸の地酒)をプロットしてみました。
Figure 1をご覧ください。


日本酒の風味として、甘辛度濃淡度という量を導入して評価する手法があります。
甘辛度Y濃淡度Zは、下記にて規定されます[#8]

Y = 193593 / (1443+N ) - 1.16 m - 132.57      [2]
Z = 94545 / (1443+N ) + 1.88 m - 68.54                  [3]
 
ここで、N日本酒度m酸度を表しています。
すなわち、甘辛度濃淡度もともに、日本酒度酸度の関数となっています。
Figure 1 のcurve Bは、甘辛度Y=0を満たす場合の酸度日本酒度の関数として描いた曲線です。
curve Bの上側の領域が甘辛度Y<0すなわち辛い味覚となる領域、curve Bの下側の領域が甘辛度Y>0すなわち甘い味覚となる領域となります。
他方、
Figure 1 のcurve Aは、濃淡度Z=0を満たす場合の酸度日本酒度の関数として描いた曲線です。curve Aの上側の領域が濃淡度Z>0すなわち濃い味覚(濃醇)となる領域、curve Aの下側の領域が濃淡度Z<0すなわち淡い味覚(淡麗)となる領域となります。

 Figure 1日本酒度酸度平面は、curve A とcurev Bによって4つの領域に分割されます。

両曲線ともに、実際上はこの領域ほぼ直線で十分近似されています。
この領域の中で、同図中でarea P, Q, Rと記載された領域に着目します。

1) area P:濃醇かつ辛口、すなわち
濃醇辛口
2) area Q:淡麗かつ辛口、すなわち淡麗辛口
3) area R:淡麗かつ甘口、すなわち淡麗甘口

と分類することができます。
Figure 1 から、琳青竹葉の2種が濃醇辛口に、九頭竜淡麗甘口に類別されます。
一方Table 1の中のその他の8種が、すべてすべて淡麗辛口に類別されることがわかります。

 実際私の感想を申し上げますと、九頭竜が最も淡麗な印象であり、琳青が最も濃醇な印象でした。
Figure 1 では、
九頭竜のダイアグラム上のロケーションはcurve Aから最も離れ、すなわち淡麗さが最有力であり、個人的印象と一致しています。
他方竹葉が最も濃醇のロケーションとなっており、個人的印象と少し差異がでています。
Table 1 において、歴々は日本酒度が+10と最大値を持っていますが、酸度の数値が不明のためFigure 1にはプロットすることができませんでした。
淡麗さが結構強いというわたしの印象でした。
普段飲んでいる浦霞に近い酒は、常きげん(純米)加賀鳶ではないかという印象でした。
Figure 1では、浦霞
常きげん(純米)が近接しており、わたしの印象と符合しています。

 なお味覚は単純ではなく、料理との組み合わせ、体調、飲む順番など他の多様な因子がありより複雑であることは間違いありません。
わたしの結論としては、常きげん(純米)加賀鳶九頭竜あたりを機会があれば再飲してみたいと考えています。
また竹葉は印象が薄いのですが、飲み比べコースでいただいたので次にこの酒だけ単独でも再飲してみたいなとも考えています。




日本酒diagram
Photo Figure 1  日本酒度 vs. 酸度プロット      
curve A: 濃淡度が零の曲線、curve B:甘辛度が零の曲線
area P:濃醇辛口、area Q:淡麗辛口、area R:淡麗甘口


[#1]: 灘酒研究会. 灘の酒 用語集 http://www.nada-ken.com/main/jp/index_sa/314.html
[#2]: Wikipedia. 日本酒. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92#.E9.85.B8.E5.BA.A6
[#3]: Wikipedia. メタノール. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB
[#4]
 Wikipedia. ブドウ糖. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9

[#5]:Wikipedia. コハク酸.
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8F%E3%82%AF%E9%85%B8
[#6]:Wikipedia. リンゴ酸. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B4%E9%85%B8

[#7]:松尾薬品産業. 乳酸. http://www.matsuo-yakuhin.co.jp/lacticacid.html
[#8]:横堀正敏. フレーバー評価技術の確立による製品の高付加価値化と品質管理への応用. http://www.saitec.pref.saitama.lg.jp/research/h26/hokok/14-1-8.pdf
甘辛度と濃淡度の原典に当たることができませんでした。

ギャラリー
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化(その1)
  • Soma cube の解480通りの体系化の提案(その 2 )
プロフィール

nonchan

ブログデビューしたてのビギナーです。 定年リタイア後、ルーティンとして週5のウォーキングと週2のスイミングを課してます。 ブログでは、わたし流の生活から派生した事項を載せるつもりです。 まずは、ウォーキング中に撮影した自宅付近の植生の写真を載せます。 趣味の木工も掲載しようかと考えています。