Kurt NAEFをご存知でしょうか。
木製玩具のデザイナーですが、その中でもNaef spielという名称の木製積み木が有名です。
スイスの玩具メーカであるNAEF社を創業もしました。
その作品の中にPhoto. 1 に示すような2次元で展開する積み木NAEFの積み木)があります。
この存在を知ったのは、阿部藏之さんの記事 [1] からでした。
その記事の中でこの作品を再現した写真が掲載されていて、それに大いに刺激されました。
そこで私も試作再現を試みました。


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Photo. 1  Kurt NAEFの作品(写真引用:http://tectonicablog.com/?p=88674


 Photo. 2 をご覧ください。
構成ユニットとしては、
(1)ブロック
(2)サネ(核)
の2種類です。
この命名は、わたし流です。
サネは対向するクサビの形象をしていて、言わば対向するとも言えます。
ブロックはクサビを納める溝が4方向にあり、この溝は言わば蟻穴と表現できます。
Figure 1 をご覧ください。
前回の記事からの引用の図面で、蟻穴を表示しています。
このNAEFの積み木阿部藏之さんの記事 [1]にもありますように蟻組接ぎの延長線上にとらえることもできます。


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Photo. 2  NAEFの積み木の構成ユニット:ブロック(左)とサネ(右)

 
蟻接ぎv8

Figure 1  :日本の伝統的建築に使用されている基本的継手仕口


 さてブロック同士はサネを介して結合され、4方向に展開していき2次元的な積み木となります。
なお今回の試作再現では、手元にある材を用いました。
具体的には、ブロックにホワイトウッド材、サネに杉材を用いました。

 Photo. 3 をご覧ください。
積み木(2次元的展開)の1例です。
ブロックサネの色調のコントラスト、またブロック同士(サネ同士)の木口の年輪の向きの対比がとても印象的ではありませんか。


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Photo. 3  NAEFの積み木の展開例その1


 さてPhoto. 4 に示しますように、ブロック1個とサネ1個を結合するとまるで人型に見えます。
これを横に1次元的に展開しますと、Photo. 5 に示しますように手をつなぐ人型の集団の様に見えます。
なにやら楽しげにも見えます。
このような見方をしますと、Photo. 3の展開例その1も手をつなぐ4個の人型が縦方向に4列縦隊して行進しているかのようにも見えてきます。



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Photo. 4  NAEFの積み木のブロック1個とサネ1個の結合:人型

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Photo. 5  NAEFの積み木の展開例その2:手をつなぐ人型


 次に Photo. 6 をご覧ください。
これは Photo.3 の展開例その1の一部のサネを取り除いたものです。
Photo. 3 では明瞭ではありませんでしたが、円形に近接したような造形ブロック4個で形成されているのが浮き上がってきます。
円形に近接したような造形Photo. 7 に拡大して示します。


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Photo. 6  NAEFの積み木の展開例その3


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Photo. 7  ブロック4個で形成される円形に近接したような造形


 今回は手持ちの材であるホワイトウッド材と杉材を用い試作しました。
ともに柔らかい材であり加工も容易だったのですが、加工後の木材繊維の毛羽が目立つ結果となりました。
次はより硬い材を用いかつ加工精度も上げる必要がありそうです。
しかしこのNAEFの積み木は、2次元的に展開する際にブロックとサネの配向で木口の木目模様が変化するため配向の仕方を変えると全体の表情も変化します。
従いましてブロックとサネの結合の仕方の他に、配向という要素が加わるため豊富なバリエーションを提供してくれそうです。


[参考資料]