折敷ご存知でしょうか。
まず折敷は ”おりしき" ではなく、”おしき” と読みます。
主に懐石膳で使用するもので、器の下に敷く木製の敷物です。
言わば、木製のランチョンマットとお考えください。

 ところで、よく似た木製品にお盆があります。
折敷お盆ととどこが違うのという当然の疑問がわきます。
精選版日本国語大辞典によれば、次のように定義されています。

(1) 折敷:檜の片木(へぎ)で作る角盆。食器などを載せるのに使った[1]
(2):浅い縁のある、物をのせて運ぶための板状の具。材質は木、金属、プラスチック、竹などで、形も方形、円形など種々ある[2]

この定義はかなり狭義に規定していますが、両社の差異をきわだたせるのには好都合です。
つまりは、折敷とはのカテゴリーに含まれます。
しかしながら、材質は桧材(木材)で形状は角形でありかつまた物を乗せて運ぶような使用はしない食器など載せるために使用すると規定されます。

今回試作した折敷 2 枚を Photo. 1 , 2, 3 に示します。
材は、杉無垢材です。
サイズは、460mm(W)×330mm(H)×10mm(H)です。
折敷の中央の板目[*]の板材は、幅110mm長さ340mmの板目の杉板材を3枚つなげて接合し幅を330mmとしています。
この仕口をすりあわせはぎ(矧ぎ)[*]またはいも接ぎ[*]といいます。
このすりあわせ矧ぎした中央の板材の両側に、幅60mm長さ330mmの柾目[*]の杉板をほんざね端ばめ(本実端嵌め)接ぎ[*]で接合しています。

 塗装は、柿渋[*]を初めて使用してみました。
以前から使用してみたいと思っていましたが、今回無臭柿渋の存在を知り早速入手しました。
柿渋に着目した第一の理由は、柿渋の特徴である高い防水性・防腐性です。
折敷はその使用形態から水分と接触する頻度が高く、防水性のある塗装が要請されます。
防水性能の高い塗料は他にもありますが、やはり折敷には和風が要請されます。
柿渋は、和の伝統的な防水性の塗料ということで最適候補に間違いありません。
塗装直後は柿皮のような赤系色を薄め淡くしたような色調です。
これが経年で柿渋の主たる成分である柿タンニンが酸化され、茶褐色に色調が変化していきます。
半年後、1年後が楽しみです。


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Photo. 1 試作した折敷(おしき)2枚:木製ランチョンマット

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Photo. 2 試作した折敷(おしき)APhoto. 1 の右側の1枚

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Photo. 3 試作した折敷(おしき)B:Photo. 1 の左側の1枚


 試しに食器を折敷の上に配置してみました。
Photo. 4 をご覧ください。
まずは和食器です。
お茶碗、木椀、染付中皿、箸を載せてみました。
この染付中皿は、わたし流ではお刺身の盛り付けに好んで使用しています。
いかがですか、和食器は杉の木目となじみ両者良く整合性がとれています。
次に洋風食器です。
Photo. 5 をご覧ください。
わたし流では洋食によく使用する大皿とフォーク&ナイフ、ワイングラスを持ってみました。
中央の板目の杉板材の横方向の木目は、大皿の色調と喧嘩はせずなじんでいるように見えます。
また中央の板目の杉板材の両側の縦板材の柾目の縦方向の木目は、配置したフォークナイフと平行に走り調和性を持たせています。
結論として、試作の折敷は和食器のみならず洋風食器にも対応しているといえます。


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Photo. 4 折敷 Aに載せた和食器:お茶碗、木椀、染付中皿、箸と箸置き

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Photo. 5 折敷 Bに載せた和食器:大皿とフォークナイフ、ワイングラス


[参照サイト]
[1]: https://kotobank.jp/word/%E6%8A%98%E6%95%B7-40253
[2]: https://kotobank.jp/word/%E7%9B%86-134950

[専門用語の解説]