2020年04月

2016年末に定年退職しました。 このブログでは、埼玉県比企郡鳩山町を中心にした植生写真を掲載します。 その他、その地誌、趣味の木工、旅行、お酒にも触れます。

新型コロナウィルス(COVID-19)の感染者数に関しての考察(その6)ー韓国感染データと感染数理モデル(その2)

 考察(その3)では韓国での感染データに関して触れ、感染数理モデル ( SIRモデル ) で説明ができるかどうかを検討してみました。
それから1ヶ月以上経過しデータも蓄積してきましたので、今回再度トライしてみます。
まずは、Figure 1 をご覧ください。
4月27日現時点での最新データで作成したグラフです。

 ここで基本的データとしては、日付ごとの新規感染者数新規退院者数新規死亡者数の3種類です。
Figure 1において、下記の5種類のグラフが示されています。

(1)縦棒グラフで新規感染者数を日付Dの関数で表示したグラフ(以降、新規感染者の縦棒グラフと呼びます)。
(2)上記新規感染者数を日ごと累積した累計値を日付Dの関数で示したグラフ(累積感染者数グラフと呼びます)
(3)累積感染者数グラフを対数表示したグラフ
(4)新規退院者数新規死亡者数の和を日ごと累積した累計値を日付Dの関数で示したグラフで、これは日付Dでの感染から回復している人口を意味します(回復人口グラフと呼ぶことにします)。
(5)日付Dでの累積感染者数から日付Dでの回復人口を差し引いた人口、これは日付Dでの感染している人口を意味します(感染人口グラフと呼ぶことにします)

この図から、下記事項を確認することができます。

(1) 新規感染者数は3月2日付近でピークを示していること
(2) 累積感染者数グラフは単調増加し現時点では飽和をむかえつつあること
(3) 回復人口グラフも単調増加を示しその勾配を減じていますがまだ飽和していないこと
(4) 感染人口グラフは3月13日付近でピークをしめしていること
(5) 感染人口は現時点でも約1800名ほどいること





Korea
Figure 1 新規感染者数の縦棒累積感染者数回復人口
(韓国)
:KCDC公表のデータ [1] から作成



 さて韓国において現時点での最大の関心事としては、

「感染人口が100人、10人、1人を割るのはいったいいつであるのか」

ということではないでしょうか。

 すでに考察(その3)では感染数理モデルでシミュレートしひとつの回答をしました。
Figure 2 をご覧ください。
その際に使用したパラメータでのシミュレーション結果を示してます。
考察(その3)の際の感染人口グラフに対しては、近接していたのですが、現時点では乖離してしまっています。
今回は新データを基に再度シミュレーションにトライしてみたいと思います。


simulated Korea1-1
Figure 2   韓国での感染人口$I(t)$の時間変化:考察(その3)
水色カーブ:KCDCデータからの算定値,  紫色カーブ:数理モデル (SIRモデル ) での計算値
$S(0)=50000000=5\times 10^{7} $, $I(0)=1$, $R(0)=0$
$\beta=0.0000002279=2.279\times 10^{-7}$, $\gamma=11.2$



 考察(その2)において説明しました感染数理モデル (SIR モデル )を適用して、 Figure 1 感染人口グラフをフィティングしてみたいと思います。
Figure 3 をご覧ください。
ここには、Figure 1 での感染者数(感染人口)水色カーブで示されています。
このカーブに感染数理モデル (SIR モデル )を適用してフィティングした数値計算の結果が紫色カーブで示されています。
シミュレーションには、scilabを用いました。
この数値計算で使用した初期値とパラメータ値は下記となります。

[1]  $S(0)=14000=1.4\times 10^{4} $; (people)
[2]  $I(0)=1$; (people)
[3]  $R(0)=0$; (people)
[4]  $\beta=0.0001863=1.863\times 10^{-4}$; (/people/day)
[5]  $\gamma=0.4416$; (/day)


[2],[3] は合理的な数値です。
[1], [4], [5] は、実際値をもっともよく近接する数値となっていると考えています。
なおこの数値計算の結果では、感染者数(感染人口)$I<100 (people)$となるのが161日後、$I<10 (people)$となるのが214日後、$I<1 (people)$となるのが267日後すなわちそれぞれ6月29日、8月21日、10月13日となりますが、いかがでしょうか。

simulated Korea2

Figure 3   韓国での感染人口$I(t)$の時間変化
水色カーブ:KCDCデータからの算定値,  紫色カーブ:数理モデル (SIRモデル ) での計算値
$S(0)=14000=1.4\times 10^{4} $, $I(0)=1$, $R(0)=0$
$\beta= 0.0001863=1.863\times 10^{-4}$, $\gamma=0.4416$


 このシミュレートでは感染人口グラフの他に、累積感染者グラフ回復人口グラフも合わせて算定できます。
Figure 4 をご覧ください。
Figure 1と比較しますと、累積感染者グラフおよび回復人口グラフはいまだ現実値との乖離が生じていることがわかります。
まだパラメータ数値が最適でないのかもしれません。

simulated Korea2-2
Figure 3   韓国での感染のシミュレーション結果
紫色累積感染者数、 緑色回復人口、 赤色感染人口
Figure 3と同一の条件でのシミュレーション結果


[参照サイト]
[1]:KCDC

新型コロナウィルス(COVID-19)の感染者数に関しての考察(その5)ー経験則

 このレポートでは、日本国内でのCOVID-19感染者数の今後の動向に関して考察したいと思います。
まずは Figure 1 をご覧ください。
この図は日本国内でのCOVID-19累積感染者数の対数を縦軸に取り、日付の関数で示したものです(以降、累積感染者数対数 vs. 日付グラフと呼ぶことにします)。
3月22日以降、4月3日までの累積感染者数をプロットしています。
数値は、厚労省の公示データを参照しています [1]
まずこの対数表示系では、累積感染者数はほぼ直線的に増加していることがわかります。
つまり累積感染者数は、指数関数的な増加を示しています。
図中の直線は、このプロットを直線で回帰分析した結果を示しています。

 この図は、累積感染者数の変化が今後もこの回帰直線を維持するのであれば、4月17日には累積感染者数が10000人に到達するということを示しています。
今日4月5日の時点で累積感染者数10000人を超えている国は15か国ありますが、日本もそのグループに入ることになります。
4月17日までは、あと2週間程度となります。
今日ここでの議論は、今後2週間累積感染者数の変化がこの回帰直線を維持するのかどうかということを世界各国のCOVID-19データから考察したいと考えています。



graph5
Figure 1  日本国内の累積感染者数対数 vs. 日付グラフ
縦軸に累積感染者数(対数表示)を横軸に日付としたグラフ


 考察の手順としては、下記となります。
なお横軸に日付を縦軸に新規感染者数をとった縦棒グラフのことを以降新規感染者数の縦棒グラフとよぶこととします。

[1] 累積感染者数が10000人を超えかつ新規感染者数の縦棒グラフがピークを過ぎている国を特定すること
[2] その国の累積感染者数グラフを解析すること

上記の手順に使用するCOVID-19データベースとして、下記のサイトを参照しました。




手順 [1]
 上記WHOのCOVID-19データベースから、中国、韓国、イタリア、オーストリア、オーストラリアの5か国が新規感染者数の縦棒グラフがピークを迎えてると判断しました。
Figure 2 をご覧ください。
上記5か国の新規感染者数の縦棒グラフです。
これらの国では、新規感染者数のグラフがピークを迎えてると判断してよいものと思います。


chinaaustralia
austria
italy

korea
Figure 2 新規感染者数の縦棒グラフ:引用 [2]
横軸に日付をとっています


 次に上記5か国の累積感染者数グラフを見てみましょう。
Figure 3 をご覧ください。
これは、上記5か国の人口100万人当たりの累積感染者数の対数を日付の関数で示した図です(以降人口100万人当たりの累積感染者数対数 vs. 日付グラフとよぶことにします)。
どの曲線も単調に増加しています。
しかしその勾配は、初めは急峻でその後徐々に減少するという一般的傾向が見られます。
図中各国の累積感染者数のグラフに対して、直線が2本描かれていることにご注目ください。
一つの直線は、人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてからの比較的急な勾配を表す直線です。
残りの直線は、上記直線のあとの勾配が緩和する付近でプロットを近接する直線です。
上記2本の直線の交点を求めることにします。
その交点が、図面上に国ごとに示されています。
例えば中国では、"China 2/13_12 days"と表記されています。
これは、”その交点の日付が2月13日であり”、かつ”人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてから12日目である”ちうことを表しています。
人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてからの日数は、最短が韓国の9日目であり、最長はイタリアの21日目となっています。

累積
Figure 3 人口100万人当たりの累積感染者数対数 vs. 日付グラフ:引用サイト [3]
縦軸は人口100万人当たりの累積感染者数の対数

 上述した交点が何を意味するのかを Figure 2 のグラフ上で確認してみましょう。
Figure 4 をご覧ください。
Figure 2新規感染者数グラフに、交点の日付を表示させました。
新規感染者グラフのピーク付近の位置をほぼ示しているといってよいと思いませんか。


china2
australia2
austria2

italy2
korea2
Figure 4  新規感染者数グラフ:引用 [2]
図中の日付は、Figure 3 で求めた2直線の交点の日付を示しています。


 ここで得られた経験則のポイントを整理しておきます。

経験則 (1) 累積感染者数が10000万人を超えている場合には、人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内で新規感染者のピークを迎える傾向がある。

経験則 (2) 人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフ回帰分析した直線の勾配を維持するケースもあるが、そうでない場合もある。

経験則 (1) は、これまでの説明で納得していただけると思います。
経験則 (2) を捕捉しますと、下記となります。

(2)-1
中国、韓国、オーストラリアでは"人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフ回帰分析した直線の勾配を維持するケース"に該当します。
(2)-2
イタリア、オーストリアでは、"人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフ回帰分析した直線の勾配を維持するケース"に該当いたしません。

 最後に Figure 1 に戻ります。
人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超える時点とは、日本に翻訳すると累積感染者数が10*1.3億/100万=1300人を超えた時点すなわち3月26日となります。
ここから計量して2-3週とは、4月9日から4月16日となります。
ここで経験則(2)-1を適用しますと、Figure 1の回帰直線を4月17日まで外挿しますと累積感染者数は10000人と算定されます。
ここで経験則(2)-2を適用すると、10000人には到達はしないということになります。

 むしろ、大事なことは次の点です。
ここで経験則 (1) を適用すると、4月16日までには新規感染者数グラフがピークを迎える可能性があるということになります。
あくまで可能性にとどまりますが、明るい材料であるかもしれません。


[ 参照サイト ]
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ブログデビューしたてのビギナーです。 定年リタイア後、ルーティンとして週5のウォーキングと週2のスイミングを課してます。 ブログでは、わたし流の生活から派生した事項を載せるつもりです。 まずは、ウォーキング中に撮影した自宅付近の植生の写真を載せます。 趣味の木工も掲載しようかと考えています。