今回の記事は、「木製パズル(その8):Great Pagoda$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その2」です。
一般化を構造に立ち入って行います。
Pagoda(多層塔)の層数 $n=k$  の場合を検討します。
$k=4,5,...$ とします。

 まず構成パーツの表記に関して復習させていただきます。
51本組木を例にして説明いたします。

Figure 12 をご覧ください。
ここで図中の記号の説明をします。
この記号は、構成パーツの木片の配置に関する標記となっています。
少々面倒くさそうな標記ですが、今後この組木シリーズのパズルを議論するうえで systematic で consistent な標記を導入したほうが良いのではという判断からです。
どうかお付き合い願います。


$Definition$
正方柱形状の構成パーツ木片の底面の正方形の1辺の長さを $2s$ とし $x-y-z$ 座標の中心を51本組木の中心として、
(1) $x$ 軸を $Group I$ の構成パーツの回転軸(円柱部分の軸)とします。

(2) $X(0,a,b)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $x$ 軸方向に延びた( $x$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2as, 2bs)$ であるものを示す。

(2) $Y(c,0,d)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $y$ 軸方向に延びた( $y$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( z, x, y )$  座標が $( 2cs, 0, 2ds)$ であるものを示す。

(3) $Z(e,f,0)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 2es, 2fs, 0)$ であるものを示す。

  
 例えば、Figure 1 の $Z(0,0, 0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 0, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示し、 $Z(0,1,0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2s, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示します。


51-piece step 0
Figure 1  51本組木3D CAD 画像


51-piece step 0-1
Figure 2  51本組木3D CAD 画像: Figure 1 の裏側

 その前に前回の記事の際に51本組木を対象に提示しましたが、構成パーツの $Group$ の類別の systematic 表記を再度繰り返しになりますが提示いたします。
前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1」での表記を少し変更させていただきます。
変更点は、下記二項目です。
(1) 構成パーツの全長の表記をハイフォン $-$ から括弧 $( )$ に変えたこと
(2) $Group\,VI$ ,$Group\,V$に対して全長の表記を括弧 $( )$ で付加したこと

Figure 3 をご覧ください。
$Group\,I$ は変更ありません。
$Group\,VI$ ,$Group\,V$には全長を付加して$Group\,VI(22)$ ,$Group\,V(22)$とします。
$Group\,II-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$, $-\delta$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,II-6$, $-10$, $-14$, $-18$ という表記でしたが、これを$Group\,II(6)$, $(10)$, $(14)$, $(18)$ と変えることとします。
また$Group\,III$ では 切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つパーツ$Group\,III-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,III-A-10$, $-A-14$, $-A-18$ という表記でしたが、これを$Group\,III-A(10)$, $-A(14)$, $-A(18)$ と変えることとします。
いっぽう$Group\,III$ の 切り欠き 2A ($Notch\,2A$) を2個持つパーツ $Group\,III-i$ を$Group\,III-2A-18$ と いう表記でしたが、これを$Group\,III-2A(18)$ と変えることとします。
この新しい $Group$ 表記法の有効な点は、表記内容によって構成パーツの形状が類推できるということです。
例えば、$Group\,II(22)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,II(18)$ の全長を $18s$ を $22s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を1個持つ形状であると特定できます 。
また$Group\,III-A(26)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-A(18)$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つ形状であると特定できます。
さらに$Group\,III-3A(26)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-2A(18)$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えかつ切り欠き 2A ($Notch\,2A$) の切り欠き長さ $4s$ を $6s$ に変えた切り欠き 3A ($"Notch\,3A"$) を2個持つ形状であると類推できます。 


parts shape definition


Figure 3  構成パーツの $Group$ 分類と各 $Group$の systematic な表記法

 前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1」の公判最後において$n=k$の場合の一般化を記載しました。
その際には構成パーツの数量のみ議論しました。
この記事では構成パーツの形状に関して記載いたします。


$[1]$  $y=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,X(0,0,0):\, Group\,V\,(4k+2)$

$\,\,X(0,0,\pm1):\,Group\,II\,(4k-2)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,0,\pm\,i):\,Group\,II\,(4(k-i)+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,0,\pm(k-2)):\,Group\,II\,(10)$
$\,\,X(0,0,-(k-1)):\,Group\,II\,(6)$

$\,\,X(0,0,k-1):\,Group\,I$

$[2]$  $z=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,Y(0,0,0):\, Group\,VI\,(4k+2)$

$\,\,Y(\pm1,0,0):\,Group\,III-A\,(4k-2)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Y(\pm\,i,0,0):\,Group\,III-A\,(4(k-i)+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(\pm(k-2),0,0):\,Group\,III-A\,(10)$

$\,\,X(\pm(k-1),0,0):\,Group\,II\,(6)$

$[3]$  $x=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,Z(0,0,0):\, Group\,VI\,(4k+2)$

$\,\,Z(0,\pm1,0):\,Group\,II\,(4k-2)$

$\,\,Z(0,\pm2,0):\,Group\,III-(k-3)A(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(0,\pm\,i,0):\,Group\,III-(k-i-1)A(4k-4i+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(0,\pm(k-2),0):\,Group\,III-A\,(10)$

$\,\,Z(0,\pm(k-1),0):\,Group\,II\,(6)$

$[4]$  $y=1$ 平面
構成パーツの総数:$2k-4$

$\,\,Z(\pm1,1,0):\,Group\,II\,(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm\,i,1,0):\,Group\,II\,(4k-4i-2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm(k-2),1,0):\,Group\,II\,(6)$

$[5]$  $y=\,-1$ 平面
構成パーツの総数:$2k-4$

$\,\,Z(\pm1,-1,0):\,Group\,II\,(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm\,i,-1,0):\,Group\,II\,(4k-4i-2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm(k-2),-1,0):\,Group\,II\,(6)$

$[6]$ $y=2$ 平面
数量:$2k-6$
$\,\,X(0,2,\pm1):Group\,II\,(4k-10)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,2,\pm\,i):Group\,II\,(4k-4i-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,2,\pm\,(k-3)):Group\,II\,(6)$

$[7]$ $y=\,-2$ 平面
数量:$2k-6$
$\,\,X(0,-2,\pm1):Group\,II\,(4k-10)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,-2,\pm\,i):Group\,II\,(4k-4i-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,-2,\pm\,(k-3)):Group\,II\,(6)$

[8] $y=3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

[9] $y=\,-3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

$...............$

[$2k$] $y=k-2$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,k-2,m);\,m=\pm1$

[$2k+1$] $y=-(k-2)$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-(k-2),m);\,m=\pm1$

 上記の構成パーツの形状議論ならびに前回までの議論によって、Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)の構造に関して完全な一般化を達成できたと考えています。
いかがでしょうか。