木工

2016年末に定年退職しました。 このブログでは、埼玉県比企郡鳩山町を中心にした植生写真を掲載します。 その他、その地誌、趣味の木工、旅行、お酒にも触れます。

第8回鳩山クラフトフェア出展報告

 12/14・15の土・日曜日に第8回鳩山クラフトフェアに出店しました。
会場は昨年までの今宿コミュニケーションセンターから鳩山町包括ケアセンターに変わりました
鳩山町包括ケアセンターはわたしの住まいのある鳩山ニュータウン内にあり、廃校となった松栄小学校の跡地です。
木木木の工房 INFINITYのブースは入り口を入って右手奥に与えられました。
前日の内に展示製品を搬入していましたので、当日は9時ごろ会場入りしました。
Photo. 1をご覧ください。
長さ1.8mの会議テーブル1個と長さ1mほどのキャンプ用テーブルをL字型に配列し、製品群をご覧の様に配置しました。
カミさんお手製のトートバッグも4点ほど合わせて展示させてもらいました。
10時30分開場ということでしたが、Photo.2のように開場15分前には結構の人が行列を作っていました。
昨年はブースが2Fだったためにお客様の群れがくるのに開場時刻10時半を過ぎてタイムラグがありましたが、今回は全ブース1Fでしたので開場と同時にお客様が来ました。

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Photo.1 第8回鳩山クラフトフェア木木木の工房 INFINITYのブース
開場ちょっと前の風景

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Photo.2 第8回鳩山クラフトフェア:開場ちょっと前の行列風景
 

 1日目の閉場後ののブース風景を Photo. 3 に示します。
展示点数の半分ほどが捌けました。
そこでキャンプ用テーブル1個を折りたたみ、展示形態を L 字型から直線状に変え製品群の配置を再構成しました。

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Photo.3 第8回鳩山クラフトフェア木木木の工房 INFINITYのブース
1日目閉場後の風景

 2日目です。
開場前に製品群を再度再構成しました。
Photo. 4 をご覧ください。

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Photo.4 第8回鳩山クラフトフェア木木木の工房 INFINITYのブース
2日目閉場前の風景

途中を端折ります。
Photo. 5 は、閉場ちょっと前のわたし流のブースの風景です。
2日目は全展示点数の2割が捌けました。
結局1日目、2日目合わせて全展示点数の75%が捌けました。
疲労感いっぱいです。
お疲れ様でした。
本日は我が家のある鳩山ニュータウン内のお蕎麦屋さんの満作さんにて昨年同様打ち上げです。
カミさんも手伝いありがとう。
来年も出店しようかな・・・。

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Photo. 2 木木木の工房 INFINITYのブース
閉場間際の風景

第8回はとやまクラフトフェア展示製品のご案内

 本年の第8回はとやまクラフトフェアで展示します木製品をご案内申し上げます。
このフェアに合わせて設計・製作したものが2点あります。
まずはPhoto. 1 をご覧ください。
猪口棚です。

わたし流には、酒とりわけて日本酒をいただく陶磁器容器、つまりお猪口にこだわりがあります。

日本各地を旅行した際には、その土地の焼き物の猪口を土産にしています。

ということでお猪口がたまってきましたので、このお猪口をディスプレイする専用棚を新規設計し製作してみました。

材は杉無垢材です。

和の雰囲気が出るよう設計しました。

棚板の後部に棚板よりも厚い角材を接合して、棚の縁材としてました。


 猪口を棚上に配列してみました。

Photo. 2 をご覧ください。

いかがでしょうか。

ロゴの焼印は正面を避けて背面に配置しました。
Photo. 3 をご覧ください。


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Photo. 1  猪口棚


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Photo. 2  猪口棚:お猪口の配列例

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Photo. 3  猪口棚背部:ロゴの " ∞INFINITY " の焼印

 猪口棚の方かの一つは、キュービックシェルフです。
有節のSPF材が1枚放置状態になっていましたので、これの利用を考えました。
スタッキングシェルフの中でも最も要素的なものが、キュービックシェルフです。
有節SPF材とワトコオイルの効果で、アンティーク風味を醸しだすことを意図しました。
Photo. 4 をご覧ください。
オープン(背板の無い)タイプの極めてsimpleなキュービックシェルフです。
C/Pを上げるためたくさんある節には特別な配慮をかけず、エイヤーとワトコオイルで仕上げしました。
どうでしょうか、アンティークな雰囲気を感得できますでしょうか。
好き嫌いが、でそうな外観ですかね。
本や花器雑貨などを収納できます。
また無印良品のスタッキングシェルフの内寸サイズと調和していますので、同社のスタッキングシェルフの様々なアイテムも収納して使用可能です。



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Photo. 4  キュービックシェルフ:有節SPF材とワトコオイル(ダークウォールナット)仕上


 以上が新作となりますが、従前からあるブックレスト(書見台)ブックエンドサブタイプを追加いたしました。
まずは、ブックレスト(書見台)からご案内いたします。
Photo. 4 をご覧ください。
写真1列目に2個のブックレスト、2列目と3列目に各1個のブックレストが配置されています。
ここで2列目のブックレストが、従来からあるものでここでは標準型ブックレストと呼ぶことにします。
1列目の2個のブックレストは、標準型ブックレストの横の長さを半分にしたものでショートタイプブックレストと呼ぶことにします。
他方、3列目のブックレストは標準型ブックレストの背板の丈を長くしたもので丈長タイプブックレストと呼ぶことにいたします。
ショートタイプブックレストは、わたしの小学校の同級生からの要請で製作した経緯があります。
その同級生は、カバーをかけたスマホのスタンド用途としてブックレストを考えたのでした。
しかしながら、標準型よりももっとコンパクトにしたいため横長を半分にして頂戴ということでした。
このショートタイプブックレストでも、文庫本や小型の単行本ならばホールドできますので本来のブックレスト(書見台)としての機能は保持できます。

 いっぽう丈長タイプブックレストは、上さんからの要請でした。
雑誌など縦の長い書籍類は、背板の丈が長いほうがより安定性が増使い易いとのことでした。
この指摘に鑑み製作しました。

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Photo. 5  ブックレストの標準型とサブタイプ2例
一列目:ショートタイプ、 2列目:標準型、 3列目:丈長タイプ

 次は、ブックエンドです。
Photo. 6 をご覧ください。
写真右側が、従来からの傾斜型ブックエンドです。
これを傾斜型ブックエンド傾斜型ブックエンド従来タイプと命名します。
中央が今回製作したブックエンドサブタイプです。
このサブタイプは長さ(写真では奥行方向の長さ)を従来型の半分にしたもので、傾斜型ブックエンドショートタイプと呼ぶことにします。
これもかみさんからの要請で、よりコンパクトで省スペースな傾斜型ブックエンドにして欲しいというものでした。
机やテーブルなどにスペースを取らずに傾斜型ブックエンドを置いて、そこらのはがきやダイレクトメイルなどを載せて整理整頓するのに使いたいということでした。
ちなみに、左端の1対のL字型のものは、通常よくあるものでわたし流には標準型ブックエンド(通常よくあるブックエンドです)と呼ぶものです。


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Photo. 6  ブックエンドサブタイプ
左側:標準型ブックエンド、 中央:傾斜型ブックエンドショートタイプ、 右側:傾斜型ブックエンド従来タイプ

 以降順次ご紹介します。
Photo. 7 は、3本の角材から構成された螺旋組です。
螺旋組(3本組)と命名します。

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Photo. 7 螺旋組(3本組)ホワイトウッド材


Photo. 8 は、6本の角材から構成された螺旋組です。
螺旋組(6本組)と命名します。

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Photo. 8 螺旋組(6本組)
右から左へ杉材、杉、桧材(4本)/杉材(2本)、桧材


 Photo. 9 は、飛騨組子(千鳥格子)です。

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Photo. 9 飛騨組子(千鳥格子):ホワイトウッド材


 Photo. 10 は、4方十字組手(3本組木)です。

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Photo. 10 4方十字組手(3本組木)ホワイトウッド材


Photo. 11 は、スリッパラックです。
3個とも同型かつ同寸ですが、ワトコオイルの塗色を変えています。
写真手前から奥に向かって、ミディアムウォールナット、ダークウォールナット/チェリー、チェリーとなっています。



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Photo. 11 スリッパラックSPF材
ワトコオイルの塗色を変えています。
手前:ミディアムウォールナット、中央:ダークウォールナット/チェリー、奥:チェリー

 Photo. 12 は、折敷(木製ランチョンマット)です。
以前は杉材でしたが、今回は桧材を使用しました。
材以外は依然と同様の仕様で、塗料は柿渋でコーティングは木工用みつろうクリーム(尾山製材株式会社)です。

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Photo. 12 折敷(木製ランチョンマット)桧材


 Photo. 13 は、スマートフォンスタンドです。
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Photo. 13 スマートフォンスタンド桧材


 最後です。
Photo. 14 は、タブレットスタンドです。

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Photo. 14 タブレットスタンド:SPF材

 以上ご来店をお待ち申し上げます。

厨子を設計・製作しました。

 7,8月の夏の期間は、製作活動を停止することにしています。
しかしながら、かみさんの父親が春に大往生し遺影等を飾る箱物が欲しいという要請もあり、また遺影等一式を収納整理したいというわたし流の希望もありました。

そこで仏壇というよりはよりコンパクト性を求めて、お厨子を設計・作製することにしました。

厨子とは、「仏像、舎利容器、経巻などを納める仏具」とブリタニカには規定されています [1]


 今回の設計意図は、厨子らしさをいかにsimpleに表現するかでした。
そのための形象要素として、1)観音扉、2)屋根状の天板、3)統一性ある木目を抽出しました。
要素3)のキーワードである「木目」を意図しましたので、材料は板目で木目が明確な材であるタモ材を適用しました。


 材料はタモ無垢材の調達に、ときがわ町の木の駅ときがわさんに行きました。

ここで、厚さ約40mm、長さ2200mm、幅270mmのタモ材を購入しました。

これを挽割ってもらい、厚さ16mm程度、長さ2200mm、幅270mmの板材2枚にしてもらいました。

ここで挽割 ( ひきわり ) とは、元の板材の長さと幅はそのままにして厚みを薄くした板材2枚にする加工のことです。

この挽割は、上記の形象要素 の中の3)統一性ある木目に貢献してくれます。

この板材2枚から設計し、外寸で長さ420mm、奥行280mm、高さ428mmの厨子を作製しました。


 Photo. 1をご覧ください。

まず、厨子の観音扉にご注目ください。

この観音扉は、上記の形象要素 の中の1)観音扉そのものに他ありません。

左右の扉の木目模様が、同一ではないですが類似していることにご着目下さい。

ここでは、ブックマッチ(Bookmaching)という技法を採用しています。

Figure 1 をご覧ください。

ブックマッチ (bookmaching) とは、板材をバンドソー ( 板材挽割り用途の帯状の鋸) などで半分に挽割ってFigure 1 のように本を見開いた状態にした2枚の板材の配置を指します。

この配置では、2枚の板材の木目模様が図の軸YY'を対象軸とした線対称に近接したものとなるため独特のシンメトリカルな意匠が得られます。

このブックマッチは、上記の形象要素 の中の3)統一性ある木目に貢献してくれます。

詳細は、 GLOSSARY(木木木の工房 INFINITY) をご覧ください。

ブックマッチをご理解いただいた上で、再度 Photo. 1観音扉の左右を観察してください。

板材をバンドソーなどで挽割った際の切りしろ数mm分の厚さ方向の木目のズレがあるため、完全な線対称ではなくズレが存在することで自然でなおかつとても心地良い感じに仕上がります。




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Photo.1 製作した厨子



ブックマッチ
Figure 1 ブックマッチ (Bookmatching)


 再び Photo. 1に戻っていただき観音扉の上の天板にご注目ください。

天板の左右の木口を傾斜カットし傾斜を入れることで、屋根(屋蓋)を表出しました。

この天板木口の傾斜は、上記の形象要素 の中の2)屋根状の天板に貢献してくれます。

 


 観音扉をあけると、Photo. 2 の様になります。

下部に抽斗を作り、細かい物を収納できるようにしています。

厨子ですからここに仏具、とりわけ仏像でも配置し厨子との調和性を確認したいと考えました。

しかしながら積極的な仏教徒ではないわたしの周囲には、仏像などありません。

そこで仕方なくハネムーンの際にバリ島でお土産に購入したバリヒンズー教のガルーダ彫刻像を納めてみました。

Photo. 3 をご覧ください。

いかがでしょうか。

ガルーダ彫刻像は、ミスマッチング気味でしょうか。

次に、同じくバリ島お土産品のRice god彫刻像はいかがでしょうか。

Photo. 4 をご覧ください。

Rice god彫刻像のほうが、ガルーダ彫刻像よりも調和しているように見えませんか。

ガルーダ彫刻像はなんとなく飛鳥時代の仏像風の雰囲気をかもしだしていませんでしょうか。

仏像ではありませんが、厨子と宗教的像の調和はまずまずのようですが、いかがでしょうか。




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Photo.1 製作した厨子:観音扉を開くと抽斗が出現



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Photo.3 製作した厨子:ガルーダ彫刻像を仮配置



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Photo.4 製作した厨子:Rice god 彫刻像を仮配置



 今はまだ未塗装ですが、今後オイルフィニッシュで仕上をする予定です。

塗装をするとまた表情が変わりますので、ご報告いたします。

なお今回製作した厨子に関してのその他の情報は、MyHomePage ( 木木木の工房 INFINITY ) の厨子の製品詳細情報をご訪問ください。


 さて、厨子と言えば法隆寺の玉虫厨子が有名です。

わたし流には、今から60年ほど前の小学校の教科書に掲載されていた "たまむしのずしの物語" が印象的で、物語の細部は不明瞭なのですが輪郭だけがボォーッと入力されています。

その輪郭をたどると、玉虫(より詳細にはヤマトタマムシ)の翅をこの厨子の金銅金具に飾ってあることから、玉虫厨子とよばれていることもよく知られています。

しかしながら、玉虫厨子に飾られた玉虫の翅の実物を見たことがある人はいますでしょうか。

まずは、Photo. 5をご覧ください。

これが、ヤマトタマムシです。

次にPhoto.6 をご覧ください。

これが、玉虫厨子の金銅金具に飾られたヤマトタマムシの翅だそうです。

詳しくは知りませんが、この発色は翅の表面の多層膜による光干渉に違いないと思われます。

玉虫厨子は飛鳥時代ですからざっと1400年程度経過していますが、この発色を維持しているのは驚きです。

発色のもとの多層膜は、有機物質ではなく無機物なのでしょうか?




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Photo. 5 ヤマトタマムシ(写真引用:http://photozou.jp/photo/show/1433095/260026872



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Photo. 6 玉虫厨子の金銅金具上のヤマトタマムシの翅:

(上)透かし金具の下部に挟み込まれています、 (下)透かし丁番の窓に挟み込まれています

(写真引用:http://tabikaseki.jp/tamamushi.html




[参照サイト]


[1]:https://kotobank.jp/word/%E5%8E%A8%E5%AD%90-83783

螺旋組技法の原理

 1年ほど前に螺旋組を試作した記事を書きました。
その際に螺旋組の技法原理を書くことをお約束してました。
このところ暑い日が続いていて、木工作業が出来ずにデスクワークに制限されています。
ということで、この際記事にすることにしました。

 Figure 1 をご覧ください。これが最も単純な螺旋組三角螺旋組ーです。
3本の角材から構成するものです。
この三角螺旋組を基にして、この技法の原理を解説してゆきます。

3本螺旋組 仕上
Figure 1  三角螺旋組


 まずFigure 1 の角材1本を抜き出します。
これを、角材 $A$ とします。
Figure 2 をご覧ください。
角材中2か所に溝、切り込みを掘り込んだ構造になっています。
Figure 3 に $Z$ 方向から見た図(平面図)と $X$ 方向から見た図(立面図)を示しています。
角材のサイズパラメータとしては、長さ $L$ 、厚み $d$ 、幅 $w$ の3種類です。
掘り込む溝の加工パラメータとしては、角材の木口から溝までの距離 $s$ と溝の深さ $x$ の2種類です。
溝に角材をはめ込むので、溝幅は角材の幅 $w$ と等しくなります。
溝は木端に対して直角ではなく60°傾いています。
全体的には、角材の中心に関して点対称となっている構造であることに注意してください。

角材1
Figure 2 三角螺旋組を構成する角材 A を抜き出した図

角材2

Figure 3 Figure 2角材 $A$ の投影図
上:平面図   下:立面図


 溝の幅 $x$ を決定することが、これからの議論の目的です。
Figure 1 の他の2個の角材 $B$ 、$C$ は、Figure 4 に示しますように角材 $A$ と合同となってますことにご注意ください。
さて角材 $A$ と $B$ を嵌め合わせます。
Figure 4 の中の角材 $B$ を時計方向に60°回転させて、角材 $A$ の表面に切った溝に角材 $B$ の裏面に切った溝をはめ込みます。
ここで角材 $B$ を角材 $A$ に押し込みます。
こうすることで、Figure 5 の様になることをご理解いただけますでしょうか。
角材 $B$ を角材 $A$ に押し込んでますので、角材 $B$ の表面と角材 $A$ の表面は面一でなく角材 $B$ の表面と角材 $A$ の表面から面落ちします。
もちろん、面落ちの程度は溝の深さ $x$ に依存します。




角材3

Figure 4 三角螺旋組を構成する角材 $A$,  $B$,  $C$ :角材はすべて合同

角材4

Figure 5 角材 $A$ と角材 $B$ の嵌め合い


 Figure 5 の正面図と立面図をFigure 6 に示します。
もうお分かりですね。
Figure 6 の正面図に開口部が見えています。
この開口部に3番目の角材 $C$ を貫通させることで、三角螺旋組が成立します。
これからの議論では、この開口部の空き間サイズを評価することになります。

角材5
Figure 6  Figure 5 の投影図
上:平面図   下:立面図


 Figure 7 をご覧ください。
この図面は、Figure 6から角材 $A$ と角材 $B$ を抜き出して投影したものです。
図中下の正面図に水平に描かれた紅赤色の実線に注目してください。
この実線は、角材 $A$ の図中左の表面に切った溝の底部のレベルを表しています。
この実線は角材 $B$ の図中左の裏面に切った溝の底部を通るはずです。
何故ならば角材 $A$ と $B$ は、各角材の各溝のこの底部で接しているからに他ありません。
実際にFigure 7においても、紅赤色の実線は角材 $B$ の図中左の裏面に切った溝の底部を通っています。




角材6

Figure 7  Figure 6 から角材  $A$ , $B$ を貫題した投影図
上:平面図   下:立面図

 ここでサイズパラメータとして溝深さ $x$ の他に、$y$ と $z$ という2つのパラメータが出てきます。
図から明白のように、 $y$ と $z$ は $x$ の関数で、次式となります。

\[y = d - x\]
\[z = x - y = x - (d - x) = 2x - d,    ...[1]\]

 さていよいよ仕上です。
Figure 8 をご覧ください。
この図は、Figure 5 の投影図でFigure 6 と同じですが情報の書き込みがあります。
Figure 6 の説明で問題となった開口部の空き間サイズ、この図面では $G$ で表現されていますが、これを評価しましょう。
Figure 7 から明らかなように、$G$ は下記となります。
\[G = 2z\]
[1] より、
\[G = 2(2x - d),    ...[2]\]
となります。



角材7
 Figure 8  Figure 6 と同じでFigure 5 の投影図:必要情報が記載されてます


 角材 $C$ がこの開口部を貫通できるためには、次式を満足すればよいといえます。
\[G \geq d\]
[2] を使えば、次式が得られます。
\[x \geq  \frac{3d}{4},    ...[3]\]
これが結論です。
なお角材 $C$ は、角材 $A$ , $B$ と合同であるということにしました。
しかしながら角材 $C$ は、Figure 8 の開口部に貫通させるだけです。
従いまして角材 $C$ の溝の深さは、角材 $A$ , $B$ と同じにする必要がありません。
角材 $A$ , $B$ の溝と嵌め合った際に面一になればよいので、角材 $C$ の溝の深さは少なくとも $\frac{d}{4}$ であればよいといえます。

 今までの議論の理解の延長線上に乗るのが、6本螺旋組となります。
Figure 9 をご覧ください。
これが6本螺旋組です。
Figure 9 の平面図を Figure 10 に示します。
6本螺旋組の構成要素が、3本螺旋組であることがご理解いただけますでしょうか。
3本螺旋組の議論を敷衍すると、6本螺旋組の場合も [3] が成立することを証明できます。
思考実験をあるいは製作を試みてください。
なおこの6本螺旋組文様群の $p6$ 群に属していますので、平面を埋めることができる文様であることを付言しておきます。


6本螺旋組 v1
Figure 9 6本螺旋組


6本螺旋組 v2
Figure 10 Figure 96本螺旋組の平面図

[関連サイト]

折敷(木製ランチョンマット)の第2報

「折敷(木製ランチョンマット)を試作しました」のご報告の直後、追加でさらに折敷(木製ランチョンマット)2枚作製しました。
この2枚も柿渋で塗装しました。
合わせて折敷4枚です。
 
 塗装に初めて柿渋を使用しましたので、柿渋の上に塗るコートとして何を使用するのがいいのか検討しました。
調査してみると木工用みつろうクリーム(尾山製材株式会社)という解に出会いました。
木工用みつろうクリーム(尾山製材株式会社)は、蜜蝋、富山県産なたね油、亜麻仁油、椿油、青森県産ヒバ油を使用しているようです。
早速入手して柿渋で塗装した折敷の上にコートしてみました。
撥水性も良く、仕上がりもなかなか良いです。

 合わせて4枚の折敷の内の2枚を6月、7月と2か月我が家にて毎日の朝昼晩の食事に使用してみました。
これは、コートに使用した木工用みつろうクリームを評価するためです。
2ヶ月使用してみて、以下の事項がわかりました。

1)撥水性は維持できること。
2)汚れは、水で濡らした布を搾って拭き取れること。
3)カレーや赤ワインの汚れも、付着した直後であるならば水で濡らした布を搾って拭き取れること。


ということで4枚の折敷の内、試験用の2枚はそのまま我が家で使用することにして、未使用の2枚を鳩山町コミュニティーマルシェに出展することにしました。


 さてこの折敷には、本ざね端ばめ接ぎ(ほんざねはしばめつぎ)という仕口を使用しています。
ここでPhoto. 1 をご覧ください。
これが製作直後の折敷本ざね端ばめ接ぎの接合部の拡大写真です。
写真では明瞭でないかもしれませんが、製作当初は板目材Aの木端と柾目材Bの木口は面を合わせていました。
次にPhoto. 2 をご覧ください。
Photo. 1と同一の未使用の折敷の同一の部分を本日ただ今撮影したものです。
板目材Aの木端と柾目材Bの木口は、面が一致していないことにお気づきでしょうか。
これは、実は湿気のなせる業です。
以降その理由を解説いたします。


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Photo. 1 製作した6月初めの折敷の接合部の写真


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Photo. 2  Photo.1 と同一の折敷の接合部:本日撮影

 
 この現象を理解するためには、次の2つの事実を理解する必要があります。

事実 1)木材は、吸湿すると膨潤すること [1]
事実 2)膨潤の程度に異方性があること [1]

事実 1)は、木材は湿度と温度に応じて空気中の水蒸気を吸収しその結果膨らむという事実を言っています。
事実 2)は、その際に膨らむ程度は等方的ではなく異方性、すなわち木材中の方向によって違いがあるという事実を言っています。

 さて木材には基本方向が存在します。
Photo. 3 をご覧ください。
切株の写真です。
この写真に示しますように、3種類の基本方向が存在します。

1)軸方向、幹軸方向、繊維方向:longitudinal direction
2)放射方向、半径方向:radial direction
3)接線方向:tangential direction

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Photo. 3  木材の基本方向:軸方向、放射方向、接線方向 


 次に板目材と柾目材を例に挙げて、それぞれの板材の基本方向がどうなっているかを検討してみましょう。
Photo. 4 をご覧ください。
板目にしろ柾目にしろ、次のように要約できます。
1)軸方向:木目の走る方向、通常の板材の長さの方向
2)接線方向:木目と直交する方向、通常の板材の幅の方向
3)放射方向:通常の板材の厚さ方向


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Photo. 4  板目材と柾目材での3種類の基本方向

 最後に上記3種類の基本方向で膨潤の程度がどのように違うのかという事実を説明します。

事実 3)膨潤率異方性は、およそ下記となること [1]

         接線方向:放射方向:軸方向=20:10:1

つまり、通常の板材では膨潤率
 
         幅方向:厚さ方向:長さ方向=20:10:1

になると言い換えられます。

 ここで折敷に戻りましょう。
折敷を構成するすり合わせ矧ぎした板目材端ばめ接ぎした柾目材での基本方向を考察してみましょう。
Photo. 5 をご覧ください。
Photo. 2 での面落ちに原因するのは、Photo. 5 でのY方向となります。
すり合わせ矧ぎした板目材AではY方向は接線方向であるのに対して、端ばめ接ぎした柾目材Bでは軸方向となります。
事実 3)から、すり合わせ矧ぎした板目材AのY方向の膨潤端ばめ接ぎした柾目材BのY方向の膨潤の20倍の程度と推定されます。
この1桁以上の膨潤の差異が、Photo. 2 に示すような段差を生むでいるものと理解できます。



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Photo. 5  折敷の板目材と柾目材の基本方向

 
 ここで、皆様の疑問にお答えします。
皆様はすり合わせ矧ぎした板目材端ばめ接ぎした柾目材は、互いに接着剤で固定しているのでPhoto. 2 のような段差は生じないはずでしょうと疑問に思っているのではないかと推測されます。
実はこの試作品の場合は、すり合わせ矧ぎした板目材端ばめ接ぎした柾目材は中央部の1/3程度の部分にだけ接着剤で固定していたのです。
今までに記載していたことは、製作時には想定済みのことでした。
仮に部分接着ではなく全面で接着固定しますと、膨潤時は端ばめ接ぎした柾目材に引っ張り応力が生じますので端ばめ接ぎした柾目材に割れやクラックが発生することが予想されます。
そのため、端ばめ接ぎを採用する場合はこの現象を回避する策を打つ必要があるのです。
今回は、部分接着という策を打ってみました。
これはこれで今のところ問題は生じてないようです。

 ということで、未使用の2枚を鳩山町コミュニティーマルシェに出展しました。

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[参考ウェブサイト]
柿渋、折敷、本ざね端ばめ接ぎ、すり合わせ矧ぎ、板目、柾目などの木工用語


[参考文献]
[1]:職業能力開発総合大学校. 木工材料. 職業訓練教材研究会. 2013. pp46~50. ISBN978-4-7863-1096-6


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プロフィール

nonchan

ブログデビューしたてのビギナーです。 定年リタイア後、ルーティンとして週5のウォーキングと週2のスイミングを課してます。 ブログでは、わたし流の生活から派生した事項を載せるつもりです。 まずは、ウォーキング中に撮影した自宅付近の植生の写真を載せます。 趣味の木工も掲載しようかと考えています。