組木

2016年末に定年退職しました。 このブログでは、埼玉県比企郡鳩山町を中心にした植生写真を掲載します。 その他、その地誌、趣味の木工、旅行、お酒にも触れます。

木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その2

今回の記事は、「木製パズル(その8):Great Pagoda$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その2」です。
一般化を構造に立ち入って行います。
Pagoda(多層塔)の層数 $n=k$  の場合を検討します。
$k=4,5,...$ とします。

 まず構成パーツの表記に関して復習させていただきます。
51本組木を例にして説明いたします。

Figure 12 をご覧ください。
ここで図中の記号の説明をします。
この記号は、構成パーツの木片の配置に関する標記となっています。
少々面倒くさそうな標記ですが、今後この組木シリーズのパズルを議論するうえで systematic で consistent な標記を導入したほうが良いのではという判断からです。
どうかお付き合い願います。


$Definition$
正方柱形状の構成パーツ木片の底面の正方形の1辺の長さを $2s$ とし $x-y-z$ 座標の中心を51本組木の中心として、
(1) $x$ 軸を $Group I$ の構成パーツの回転軸(円柱部分の軸)とします。

(2) $X(0,a,b)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $x$ 軸方向に延びた( $x$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2as, 2bs)$ であるものを示す。

(2) $Y(c,0,d)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $y$ 軸方向に延びた( $y$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( z, x, y )$  座標が $( 2cs, 0, 2ds)$ であるものを示す。

(3) $Z(e,f,0)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 2es, 2fs, 0)$ であるものを示す。

  
 例えば、Figure 1 の $Z(0,0, 0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 0, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示し、 $Z(0,1,0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2s, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示します。


51-piece step 0
Figure 1  51本組木3D CAD 画像


51-piece step 0-1
Figure 2  51本組木3D CAD 画像: Figure 1 の裏側

 その前に前回の記事の際に51本組木を対象に提示しましたが、構成パーツの $Group$ の類別の systematic 表記を再度繰り返しになりますが提示いたします。
前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1」での表記を少し変更させていただきます。
変更点は、下記二項目です。
(1) 構成パーツの全長の表記をハイフォン $-$ から括弧 $( )$ に変えたこと
(2) $Group\,VI$ ,$Group\,V$に対して全長の表記を括弧 $( )$ で付加したこと

Figure 3 をご覧ください。
$Group\,I$ は変更ありません。
$Group\,VI$ ,$Group\,V$には全長を付加して$Group\,VI(22)$ ,$Group\,V(22)$とします。
$Group\,II-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$, $-\delta$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,II-6$, $-10$, $-14$, $-18$ という表記でしたが、これを$Group\,II(6)$, $(10)$, $(14)$, $(18)$ と変えることとします。
また$Group\,III$ では 切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つパーツ$Group\,III-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,III-A-10$, $-A-14$, $-A-18$ という表記でしたが、これを$Group\,III-A(10)$, $-A(14)$, $-A(18)$ と変えることとします。
いっぽう$Group\,III$ の 切り欠き 2A ($Notch\,2A$) を2個持つパーツ $Group\,III-i$ を$Group\,III-2A-18$ と いう表記でしたが、これを$Group\,III-2A(18)$ と変えることとします。
この新しい $Group$ 表記法の有効な点は、表記内容によって構成パーツの形状が類推できるということです。
例えば、$Group\,II(22)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,II(18)$ の全長を $18s$ を $22s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を1個持つ形状であると特定できます 。
また$Group\,III-A(26)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-A(18)$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つ形状であると特定できます。
さらに$Group\,III-3A(26)$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-2A(18)$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えかつ切り欠き 2A ($Notch\,2A$) の切り欠き長さ $4s$ を $6s$ に変えた切り欠き 3A ($"Notch\,3A"$) を2個持つ形状であると類推できます。 


parts shape definition


Figure 3  構成パーツの $Group$ 分類と各 $Group$の systematic な表記法

 前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1」の公判最後において$n=k$の場合の一般化を記載しました。
その際には構成パーツの数量のみ議論しました。
この記事では構成パーツの形状に関して記載いたします。


$[1]$  $y=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,X(0,0,0):\, Group\,V\,(4k+2)$

$\,\,X(0,0,\pm1):\,Group\,II\,(4k-2)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,0,\pm\,i):\,Group\,II\,(4(k-i)+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,0,\pm(k-2)):\,Group\,II\,(10)$
$\,\,X(0,0,-(k-1)):\,Group\,II\,(6)$

$\,\,X(0,0,k-1):\,Group\,I$

$[2]$  $z=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,Y(0,0,0):\, Group\,VI\,(4k+2)$

$\,\,Y(\pm1,0,0):\,Group\,III-A\,(4k-2)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Y(\pm\,i,0,0):\,Group\,III-A\,(4(k-i)+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(\pm(k-2),0,0):\,Group\,III-A\,(10)$

$\,\,X(\pm(k-1),0,0):\,Group\,II\,(6)$

$[3]$  $x=0$ 平面
構成パーツの総数:$2k-1$

$\,\,Z(0,0,0):\, Group\,VI\,(4k+2)$

$\,\,Z(0,\pm1,0):\,Group\,II\,(4k-2)$

$\,\,Z(0,\pm2,0):\,Group\,III-(k-3)A(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(0,\pm\,i,0):\,Group\,III-(k-i-1)A(4k-4i+2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(0,\pm(k-2),0):\,Group\,III-A\,(10)$

$\,\,Z(0,\pm(k-1),0):\,Group\,II\,(6)$

$[4]$  $y=1$ 平面
構成パーツの総数:$2k-4$

$\,\,Z(\pm1,1,0):\,Group\,II\,(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm\,i,1,0):\,Group\,II\,(4k-4i-2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm(k-2),1,0):\,Group\,II\,(6)$

$[5]$  $y=\,-1$ 平面
構成パーツの総数:$2k-4$

$\,\,Z(\pm1,-1,0):\,Group\,II\,(4k-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm\,i,-1,0):\,Group\,II\,(4k-4i-2),\,\,\,\,i=1,2,...k-2$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,Z(\pm(k-2),-1,0):\,Group\,II\,(6)$

$[6]$ $y=2$ 平面
数量:$2k-6$
$\,\,X(0,2,\pm1):Group\,II\,(4k-10)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,2,\pm\,i):Group\,II\,(4k-4i-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,2,\pm\,(k-3)):Group\,II\,(6)$

$[7]$ $y=\,-2$ 平面
数量:$2k-6$
$\,\,X(0,-2,\pm1):Group\,II\,(4k-10)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,-2,\pm\,i):Group\,II\,(4k-4i-6)$
$\,\,\,\,\,\,\,\vdots\\$
$\,\,X(0,-2,\pm\,(k-3)):Group\,II\,(6)$

[8] $y=3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

[9] $y=\,-3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

$...............$

[$2k$] $y=k-2$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,k-2,m);\,m=\pm1$

[$2k+1$] $y=-(k-2)$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-(k-2),m);\,m=\pm1$

 上記の構成パーツの形状議論ならびに前回までの議論によって、Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)の構造に関して完全な一般化を達成できたと考えています。
いかがでしょうか。


木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1

「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)」の続編の記事です。
Pagoda(多重塔)の層数 $n$ が $6$ の際の73本組木の構成パーツを3D CAD 画像で提示し3D CAD 画像Pagoda を構築したいと考えています。
前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)」の中の Table 3Table 4 の構成パーツと表記を図解することから始めます。

 その前に前回の記事の際に51本組木を対象に提示しましたが、構成パーツの $Group$ の類別の systematic 表記を再度繰り返しになりますが提示いたします。
Figure 1 をご覧ください。
$Group\,I$ , $Group\,VI$ ,$Group\,V$ は変更ありません。
$Group\,II-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$, $-\delta$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,II-6$, $-10$, $-14$, $-18$ という表記に変えることとします。
また$Group\,III$ では 切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つパーツを$Group\,III-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$ としてましたが、これらをそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,III-A-10$, $-A-14$, $-A-18$ と記することにします。
いっぽう$Group\,III$ の 切り欠き 2A ($Notch\,2A$) を2個持つパーツを $Group\,III-i$ としてましたが、これを$Group\,III-2A-18$ と記することにします。
この新しい $Group$ 表記法の有効な点は、表記内容によって構成パーツの形状が類推できるということです。
例えば、$Group\,II-22$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,II-18$ の全長を $18s$ を $22s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を1個持つ形状であると特定できます 。
また$Group\,III-A-26$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-A-18$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つ形状であると特定できます。
さらに$Group\,III-3A-26$ の構成パーツは、 Figure 1 の $Group\,III-2A-18$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えかつ切り欠き 2A ($Notch\,2A$) の切り欠き長さ $4s$ を $6s$ に変えた切り欠き 3A ($"Notch\,3A"$) を2個持つ形状であると類推できます。 


51-piece notch3

Figure 1  構成パーツの $Group$ 分類と各 $Group$の systematic な表記法


 これより構造的な議論に戻ります。
前回の記事「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)」の中の Table 3Table 4構成パーツと表記を図解することにしましょう。
$x-y-z$ 座標軸の原点を73本組木の中心において議論します。
73本組木を構成する73本の構成パーツは下記のように類別するとすべて漏らすことなく網羅することが可能であるということがご理解いただけますでしょうか。
なお構成パーツの数量を Table 3Table 4 から抽出してます。

[1] 中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:11本
[2] 中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツ:11本
[3] 中心が $x=0$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:11本
[4] 中心が $y=\pm1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:8×2=16本
[5] 中心が $y=\pm2$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:6×2=12本
[6] 中心が $y=\pm3$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:4×2=8本
[7] 中心が $y=\pm4$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:2×2=4本

 ここで理解を深めるために、類別ごとに図解してさらに議論を進めます。
Figure 1 をご覧ください。
中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$X(0,0,m):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4,\pm5$ の11本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,0,0)$ が $Group \,V$、$X(0,0,5)$ が $Group \,I$、$X(0,0,\pm1)$ が $Group \,II-22$ 、 $X(0,0,\pm2)$ が $Group\, II-18$ 、$X(0,0,\pm3)$ が $Group\, II-14$ 、$X(0,0,\pm4)$ が $Group\, II-10$、$X(0,0,-5)$ が $Group \,II-6$ となります。


y=0 plane
Figure 1  73本組木:中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:11本


 Figure 2 は、上記の類別 [2] を図解したものです。
中心が 中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Y(m,0,0):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$,\pm5 の11本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$Y(0,0,0)$ が $Group \,VI$、$Y(\pm1,0,0)$ が $Group \,III-A-22$ 、 $Y(\pm2,0,0)$ が $Group\, III-A-18$ 、$Y(\pm3,0,0)$ が $Group\, III-A-14$ 、$Y(\pm4,0,0)$ が $Group \,III-A-10$、$Y(\pm5,0,0)$ が $Group \,II-6$ となります。

z=0 plane
Figure 2  73本組木:中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツ:11本

 Figure 3 は、上記の類別 [3] を図解したものです。
中心が $x=0$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(0,m,0):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$,\pm5 の11本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$Z(0,0,0)$ が $Group \,VI$、$Z(0,\pm1,0)$ が $Group \,II-22$ 、 $Z(0,\pm2,0)$ が $Group\, III-3A-18$ 、$Z(0,\pm3,0)$ が $Group\, III-2A-14$ 、$Z(0,\pm4,0)$ が $Group \,III-A-10$、$Z(0,\pm5,0)$ が $Group \,II-6$となります。

x=0 plane
Figure 3  73本組木:中心が $x=0$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:11本


 Figure 4 は、上記の類別 [4] を図解したものです。
中心が $y=1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(m,1,0):m=\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$ の8本となります。
なお $Z(0,1,0)$はすでに類別 [3] において抽出されていますので除外してますことに注意してください。
また 中心が $y=-1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$Z(m,-1,0):m=\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$ の8本がFigure 4 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$Z(\pm1,\pm1,0)$ が $Group \,II-18$、$Z(\pm2,\pm1,0)$ が $Group \,II-14$ 、 $Z(\pm3,\pm1,0)$ が $Group \,II-10$、$Z(\pm4,\pm1,0)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=1 plane
Figure 4  73本組木:中心が $y=1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:8本

 Figure 5 は、上記の類別 [5] を図解したものです。
中心が $y=2$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$X(0,2,m):m=\pm1,\pm2,\pm3$ の6本となります。
なお、中心が $y=-2$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$X(0,-2,m):m=\pm1,\pm2,\pm3$ の6本が Figure 5 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,\pm2,\pm1)$ が $Group \,II-14$、$X(0,\pm2,\pm2)$ が $Group \,II-10$、$X(0,\pm2,\pm3)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=2 plane
Figure 5  73本組木:中心が $y=2$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:6本

 Figure 6 は、上記の類別 [6] を図解したものです。
中心が $y=3$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(0,3,m):m=\pm1,pm2$ の4本となります。
なお、中心が $y=-3$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$Z(0,-3,m):m=\pm1,\pm2$ の4本が Figure 6 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,\pm3,\pm2)$ が $Group \,II-10$、$X(0,\pm3,\pm1)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=3 plane
Figure 6  73本組木:中心が $y=3$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:4本

 Figure 7 は、上記の類別 [7] を図解したものです。
中心が $y=4$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(0,4,m):m=\pm1$ の2本となります。
なお、中心が $y=-4$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$Z(0,-4,m):m=\pm1$ の2本が Figure 9 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,\pm4,\pm1)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=4 plane
Figure 6  73本組木:中心が $y=3$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:4本


 以上73本組木を構成する73本の構成パーツを図解してきました。
これら73本の構成パーツを用いて73本組木を構築できることを 3D CAD 動画像を利用して証明しましょう。
まずこれまで議論してきた73本組木を構成する73本の構成パーツを組み上げに適合した配置に再展開します。
Figure 7 をご覧ください。
この配置を初期状態として 73本組木を組み上げることとします。
なおFigure 7 には構成パーツの表記を記入しています。


initial step

Figure 7  73本組木を組み上げるための構成パーツの再配置図解:
組み上げの3D CAD 動画の初期状態です。


 それでは最後に73本組木を組み上げるときの3D CAD 動画Animation 1 に示します。
Figure 1~Figure 6 で示した73本の構成パーツを使用して73本組木を組み上げることが可能であることをご認識いただけると思いますが、いかがでしょうか。
ここまでの議論を帰納することで、一般解であるGreat Pagoda$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)を組み上げるのに必要な $M$ 本の構成パーツの各 $Group$ の数量と形状を割り出し、かつ組み上げる手順を推定することが可能となるとご認識できると思いますが、いかがでしょうか。
これにてGreat Pagoda$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)の一般化を実現したことになります。
ところでわたしが今回製作したのは、$n=1,2,3,4,5$、3本組木9本組木19本組木33本組木51本組木まででした。
今までに実際に製作したGreat Pagoda$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)をインターネットで調査しましたが、$n=6,7,8$、それぞれ73本組木99本組木129本組木を確認しましたことを付言しておきます。




Animation 1 73本組木を組み上げるときの3D CAD 動画

木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)

木製パズル(その4)から木製パズル(その7)において、9本組木19本組木33本組木51本組木に関して記載してきました。
今回は総まとめとして、この一連の組木パズルを「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)」として記事にしたいと考えています。

 これら一連の組木の起源に関しては、文献上は明確な記載が見当たりません。
これらの組木の起源に関して調査をしてみると、どうやら日本のようです。
明治時代に箱根組木細工の山中常太郎が創始した山中組木工房で昭和初期までには創出されたものと思われます。
当時日本国内というよりもむしろ海外に輸出されたようです。
四代目 山中成夫作の組木パズルの存在が知られています。
実は英語圏では、これらの一連の組木パズルは Great Pagoda puzzle とか Burr puzzle、あるいはJapanese Crystal puzzle とかの総称で呼ばれています。
はじめの二通りの呼称は木製パズルの著作として著名な Wyatt 著 " Puzzles in wood "(1928) に由来すると思われますが、3番目の呼称になった経緯は不明です。

 木製パズル(その4)から木製パズル(その7)のわたしの記事を複数お読みいただいた方は、これら 4 種類の組木パズルは関連性があるのではないかとお気づきかと考えてます。
いままでには触れませんでしたが、実は回転型四方十字組手もこの Great Pagoda に属してます。
回転型四方十字組手の別名として、3本組木という言い方もありこのことからも Great Pagoda との関係性が示唆されてます。
あらためましてPhoto. 1 に試作した9本組木19本組木33本組木51本組木と今回新規に試作した3本組木も加えて示します。


IMG_20221218_160955

Photo.1  試作した3本組木(前列左)、9本組木(前列右)、19本組木(中央)、
33本組木(後列右)、51本組木(後列左)


 ところで3本組木9本組木19本組木33本組木51本組木構成パーツ数を表す数字の列、すなわち数列

      $a_{n}: 3,  \,\,9,  \,\,19,  \,\,33, \,\, 51, \,\,. . . $

を考察してみましょう。
上記数列 $a_{n}$ の階差数列を $b_{n}=a_{n+1}- a_{n}$ とすると、

      $b_{n}: 6,  \,\,10,  \,\,14,  \,\,18,\,\,...$

となり、初項 6 公差 4 の等差数列を形成していることがわかります。
したがって、

      $b_{n}\,=\, 6\,+\,4(n-1), \,\,\,n=1, \,2, \,...$

よって、
      $$a_{n}\,-\,a_{1}\,= \sum_{k=1}^{n-1} b_{k}\,= \sum_{k=1}^{n-1}2\,+\,4\sum_{k=1}^{n-1}k=2(n\,-\,1)+4\cdot\frac{1}{2}(n-1)n=2n^{2}-2$$

これより、$a_{1}=3$ なので

      $a_{n}=2n^{2}+1,...\,n\in N^{+}$

となります。
数列 $a_{n}$ 自体は、$n$ を $0$ を含めない自然数 $N^{+}$ の要素として存在しています。
しかしながらわたしが試作した組木実態としては、$1\leq n\leq 5$ という制限が存在することにご注意ください。

 ここで上記の数列 $a_{n}$ の添字 $n$ の自然数に対してはいかなる物理的イメージを持てばよいのでしょうか。
わたし流には Pagoda(多層塔)の層数に対応しているものととらえています。
具体的には、例えば 33本組木 ( $n=4$ )および 51本組木 ( $n=5$ )の場合を例にとれば、Figure 1 に示すように 33本組木および 51本組木はそれぞれ4層および5層から形成された Pagoda(多層塔)をイメージできます。
というわけで、以降は上記の $n$ の自然数をわたし流には Pagoda の層数と呼ぶことにします。
以上は表面的な考察ですがこの一連の組木パズル Great Pagoda には統一性、関連性が存在することが示唆されます。
それでは、$n\geq 6$ では一体どうなるのでしょうか。

definition of n
Figure 1  数列 $a_{n}$ の添字 $n$ の自然数に対する物理的イメージ:
Pagoda(多重塔)の層数


 今までの議論では、3本組木 ( $n=1$ )、9本組木 ( $n=2$ )、19本組木 ( $n=3$ )、33本組木 ( $n=4$ )、51本組木 ( $n=5$ ) の構成パーツ数を表す数字の数列を表面的に処理した結果に過ぎません。
どのような形状の構成パーツをどのように組み合わせ組木を構成するかという構造的な議論はしていません。
ということでこれよりは、構造的な議論を展開してみます。
その前に構成パーツの $Group$ の類別の表記をより systematic なものに変えたいと思います。
Figure 2 をご覧ください。
$Group\,I$ , $Group\,VI$ ,$Group\,V$ は変更ありません。
$Group\,II-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$, $-\delta$ をそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,II-6$, $-10$, $-14$, $-18$ という表記に変えることとします。
また$Group\,III$ では 切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つパーツを$Group\,III-\alpha$, $-\beta$, $-\gamma$ としてましたが、これらをそれぞれ構成パーツの全長の数字(単位は $s$)を用いて$Group\,III-A-10$, $-A-14$, $-A-18$ と記することにします。
いっぽう$Group\,III$ の 切り欠き 2A ($Notch\,2A$) を2個持つパーツを $Group\,III-i$ としてましたが、これを$Group\,III-2A-18$ と記することにします。
この新しい $Group$ 表記法の有効な点は、表記内容によって構成パーツの形状が類推できるということです。
例えば、$Group\,II-22$ の構成パーツは、 Figure 2 の $Group\,II-18$ の全長を $18s$ を $22s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を1個持つ形状であると特定できます 。
また$Group\,III-A-26$ の構成パーツは、 Figure 2 の $Group\,III-A-18$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えた切り欠き A ($Notch\,A$) を2個持つ形状であると特定できます。
さらに$Group\,III-3A-26$ の構成パーツは、 Figure 2 の $Group\,III-2A-18$ の全長を $18s$ を $26s$ に変えかつ切り欠き 2A ($Notch\,2A$) の切り欠き長さ $4s$ を $6s$ に変えた切り欠き 3A ($"Notch\,3A"$) を2個持つ形状であると類推できます。 


51-piece notch3

Figure 2  構成パーツの $Group$ 分類と各 $Group$の新奇な表記法


 これより構造的な議論に戻ります。
構成パーツ数の最も多い51本組木を考察対象にしましょう。
Figure 3 51本組木を示します。
$x-y-z$ 座標軸の原点を51本組木の中心において議論します。
51本組木を構成する51本の構成パーツは下記のように類別するとすべて漏らすことなく網羅することが可能であるということがご理解いただけますでしょうか。

[1] 中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ
[2] 中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツ
[3] 中心が $x=0$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ
[4] 中心が $y=\pm1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ
[5] 中心が $y=\pm2$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ
[6] 中心が $y=\pm3$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ



51-piece burr
Figure 3  51本組木の構成パーツの平面による類別

 ここで理解を深めるために、類別ごとに図解してさらに議論を進めます。
Figure 4 をご覧ください。
この図は上記の類別 [1] を図解したものです。
中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$X(0,0,m):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$ の9本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,0,0)$ が $Group \,V$、$X(0,0,4)$ が $Group \,I$、$X(0,0,\pm1)$ が $Group \,II-18$ 、 $X(0,0,\pm2)$ が $Group\, II-14$ 、$X(0,0,\pm3)$ が $Group\, II-10$ 、$X(0,0,-4)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=0 plane 1

Figure 4  51本組木:中心が $y=0$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:9本


 Figure 5 は、上記の類別 [2] を図解したものです。
中心が 中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Y(m,0,0):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$ の9本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$Y(0,0,0)$ が $Group \,VI$、$Y(\pm1,0,0)$ が $Group \,III-A-18$ 、 $Y(\pm2,0,0)$ が $Group\, III-A-14$ 、$Y(\pm3,0,0)$ が $Group\, III-A-10$ 、$Y(\pm4,0,0)$ が $Group \,II-6$ となります。


z=0 plane

Figure 5  51本組木:中心が $z=0$ 平面に存在し $y$ 軸に平行な構成パーツ:9本


 Figure 6 は、上記の類別 [3] を図解したものです。
中心が $x=0$ 平面に存在し $Z$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(0,m,0):m=0,\pm1,\pm2,\pm3,\pm4$ の9本となります。
構成パーツの $Group$ としては、$Z(0,0,0)$ が $Group \,VI$、$Z(0,\pm1,0)$ が $Group \,II-18$ 、 $Z(0,\pm2,0)$ が $Group\, III-2A-14$ 、$Z(0,\pm3,0)$ が $Group\, III-A-10$ 、$Z(0,\pm4,0)$ が $Group \,II-6$ となります。


x=0 plane
Figure 6  51本組木:中心が $x=0$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:9本


 Figure 7 は、上記の類別 [4] を図解したものです。
中心が $y=1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(m,1,0):m=\pm1,\pm2,\pm3$ の6本となります。
なお $Z(0,1,0)$はすでに類別 [3] において抽出されていますので除外してますことに注意してください。
また 中心が $y=-1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$Z(m,-1,0):m=\pm1,\pm2,\pm3$ の6本がFigure 7 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$Z(\pm1,\pm1,0)$ が $Group \,II-14$、$Z(\pm2,\pm1,0)$ が $Group \,II-10$ 、 $Z(\pm3,\pm1,0)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=1 plane
Figure 7  51本組木:中心が $y=1$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ:6本


 Figure 8 は、上記の類別 [5] を図解したものです。
中心が $y=2$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$X(0,2,m):m=\pm1,\pm2$ の4本となります。
なお、中心が $y=-2$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$X(0,-2,m):m=\pm1,\pm2$ の4本が Figure 8 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,\pm2,\pm1)$ が $Group \,II-10$、$X(0,\pm2,\pm2)$ が $Group \,II-6$ となります。

y=2 plane
Figure 8  51本組木:中心が $y=2$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:4本


 Figure 9 は、上記の類別 [6] を図解したものです。
中心が $y=3$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツとしては、構成パーツのわたし流表記で表すと$Z(0,3,m):m=\pm1$ の2本となります。
なお、中心が $y=-3$ 平面に存在し $z$ 軸に平行な構成パーツ$Z(0,-3,m):m=\pm1$ の4本が Figure 9 と同一の形状を提示してますことはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
構成パーツの $Group$ としては、$X(0,\pm3,\pm1)$ が $Group \,II-6$ となります。
y=3 plane
Figure 9  51本組木:中心が $y=3$ 平面に存在し $x$ 軸に平行な構成パーツ:2本


 以上構成パーツの個数を総和すると、

      $9+9+9+(6+4+2)\times2=51$

となり51本組木の構成パーツの数量と一致し、すべて漏れなく計上されていることが確認できます。


 ここで、以降 3本組木9本組木19本組木33本組木51本組木、......という系列の組木パズルを Great Pagoda と総称する呼び方の代わりに $M$ 本組木($M=2n^{2}+1,\,n=1,\,2,\,...$)と呼ぶことにします。
次にただいま51本組木を対象に展開した構造的議論を3本組木9本組木19本組木33本組木すべてを対象に展開してみます。
ここでは具体的議論は割愛しその結果のみを示します。
Table 1Table 2 をご覧ください。
この結果はPagoda(多重塔)の層数 $n$ が $1$ から $5$ に増えるにつれて各平面での構成パーツの表記と数量に規則性が存在することを明瞭に示してます。

 
Table 1  $M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)の構成パーツの表記と数量 (その1)
 


Table 2  $M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)の構成パーツの表記と数量 (その2):
$x$ 軸に平行な構成パーツを$x$ 軸構成パーツ、$X(x$座標、$y$ 座標、$z$ 座標$)$を $X(x,y,z)$ と略記してます



 ここでPagoda(多重塔)の層数 $n$ が $6$ の場合、すなわち 73本組木を検討してみましょう。
Table 1Table 2 の結果より Table 3Table 4 のように結論できます。
すなわち $n$ が $5$ の場合に対して、各平面の数量が2増加するとともに新たに黄色の項目 $y=\pm4$ の平面が追加されこの項目の数量がそれぞれ2追加されることとなることが理解していただけますでしょうか。


Table 3   73本組木の構成パーツの表記と数量 (その1)



Table 4   73本組木の構成パーツの表記と数量 (その2)


 最後にPagoda(多重塔)の層数 $n$ が $k\geq7$ の一般的な場合、すなわち$M=2k^{2}+1$ 本組木を検討してみましょう。

[1] $y=0$ 平面
数量:$2k-1$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,0,m);\,m=0,\,\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-1)$

[2] $z=0$ 平面
数量:$2k-1$
$y$ 軸構成パーツ:$Y(0,0,m);\,m=0,\,\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-1)$

[3] $x=0$ 平面
数量:$2k-1$
$z$ 軸構成パーツ:$Z(0,0,m);\,m=0,\,\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-1)$

[4] $y=1$ 平面
数量:$2k-4$
$x$ 軸構成パーツ:$Z(m,1,0);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-2)$

[5] $y=-1$ 平面
数量:$2k-4$
$x$ 軸構成パーツ:$Z(m,-1,0);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-2)$

[6] $y=2$ 平面
数量:$2k-6$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,2,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-3)$

[7] $y=-2$ 平面
数量:$2k-6$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-2,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-3)$

[8] $y=3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

[9] $y=-3$ 平面
数量:$2k-8$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-3,m);\,m=\pm1,\,\pm2, ...,\,\pm(k-4)$

$...............$

[$2k$] $y=k-2$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,k-2,m);\,m=\pm1$

[$2k+1$] $y=-(k-2)$ 平面
数量:$2$
$x$ 軸構成パーツ:$X(0,-(k-2),m);\,m=\pm1$

となることがご理解いただけるでしょうか。
それではここまでの構造論的議論を受けて$n$ が $k$ の一般的な場合の構成パーツの総和 $S$ を求めてみましょう。

      $S=(2k-1)\times3+2\times((2k-4)+(2k-6)+(2k-8)+...+2)$
      $$=3(2k-1)+2 \sum_{r=1}^{k-2} \big\{2k-(2+2r)\big\}$$
      $$=3(2k-1)+2 \sum_{r=1}^{k-2}2(k-1)-2\times2 \sum_{r=1}^{k-2} r$$
      $$=3(2k-1)+2(k-2)2(k-1)-4\frac{(k-2)(k-2+1)}{2}$$
      $=2k^{2}+1$

となり間違いなく $M$ 本組木($M=2k^{2}+1$)であることが確認できました。

本記事はここで留め置き、「木製パズル(その8):Great Pagoda、$M$ 本組木($M=2n^{2}+1$)続編その1」において Pagoda(多重塔)の層数 $n$ が $6$ の際の73本組木の構成パーツを3D CAD 画像で提示し3D CAD 画像Pagoda を構築したいと考えています。


[ 参考サイト ]

木製パズル(その7):51本組木

 木製パズル(その7)は、51本組木です。
組木とは複数の木片を接着・接合をせず組み合わせた集合体と定義します。
51本組木は、51本の角材で構成する集合体です。
組木ですので分解また組み上げが可能で、その過程を楽しむ3D図形パズルとなるわけです。
組木パズルあるいは立体組木パズルと呼ばれている木製パズルのひとつです。
英語圏では、木製パズルの著名な書籍 [1], [2] において"51 piece burr puzzle", "51 piece pagoda puzzle", "51 piece Japanese crystal puzzle" というような名称で詳しく紹介されています。


 Photo. 1, 2 をご覧ください。
これが、51本組木です。
木製パズル(その3, 4, 5):9本組木19本組木、33本組木と同様に、組木パズルというカテゴリのパズルです。
表面上に多数の立方体形状のコブが出現しているような外観の対称性の高い3D図形です。
なお表面の立方体形状のコブの数は、51 × 2 = 102個です。
木製パズル(その5):33本組木 よりもさらに印象的な外観を呈してます。


IMG_20221204_092833
Photo. 1  51本組木


IMG_20221204_093001_1
Photo. 2  51本組木


 ここで事象を明瞭化するために木製パズル(その3、4、5)の9本組木、19本組木33本組木と同様に、実物に代えて3D CAD 画像で議論することにしましょう。
つまり Photo. 133本組木の木製品写真の代わりに、Figure 1 に示す組み上げ時の3D CAD 画像を使いましょう。
なお Figure 2 には、Figure 1 の画像を $y$ 軸負方向から見た画像を示してます。

 ここで図中の記号の説明をします。
この記号は、構成パーツの木片の標記となっています。
少々面倒くさそうな標記ですが、今後この組木シリーズのパズルを議論するうえで systematic で consistent な標記を導入したほうが良いのではという判断からです。
どうかお付き合い願います。


$Definition$
正方柱形状の構成パーツ木片の底面の正方形の1辺の長さを $2s$ とし $x-y-z$ 座標の中心を51本組木の中心として、
(1) $X(0,a,b)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $x$ 軸方向に延びた( $x$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2as, 2bs)$ であるものを示す。

(2) $Y(c,0,d)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $y$ 軸方向に延びた( $y$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( z, x, y )$  座標が $( 2cs, 0, 2ds)$ であるものを示す。

(3) $Z(e,f,0)$:正方柱形状の構成パーツ木片の中で $z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)木片で、その中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 2es, 2fs, 0)$ であるものを示す。

  
 例えば、Figure 1 の $Z(0,0, 0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 0, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示し、 $Z(0,1,0)$ は、中心の $( x, y, z )$ 座標が $( 0, 2s, 0)$ である$z$ 軸方向に延びた( $z$ 方向が正方形状底面に垂直な方向である)構成パーツ木片を示します。


51-piece step 0
Figure 1  55本組木3D CAD 画像


51-piece step 0-1
Figure 2  55本組木3D CAD 画像: Figure 1 の裏側


 またFigure 3構成パーツ木片3D CAD 画像を示します。
構成パーツは、Figure 2 からわかるようにその形状から5種類の $Group$ に類別できます。
すなわち、下記となります。

$(1) \, \,\,\,Group \, I: \,X(0,0,4)$
$(2) \, \,\,Group \,II\,\alpha: \,X(0,0,-4),\, X(0, \pm 3,\pm 1),\, X(0, \pm 2,\pm 2)\,Y( \pm4,\,0,\,0),\,Z(0, \pm4,\,0),\,Z( \pm 3,\pm 1,\,0)$
$(2') \, \,\,Group \,II\,\beta: \,X(0,\,0, \pm3),\,X(0,\,\pm2, \pm1)\,Z(\pm2, \pm1,\,0)$
$(2'')\, \,Group \,II\, \gamma: \,X(0,/,0, \pm2), \,Z(\pm1, \pm1,\,0)$
$(2''')\, Group \,II\, \delta: \,X(0,0,\pm1), \, Z(0,\pm1,0)$
$(3)\, \,\,\,Group \,III\, \alpha: Y(\pm3,\,0,\,0), \,Z(0,\pm3,\,0)$
$(3')\, \,\,Group\,III\, \beta:\,Y(\pm2,\,0,\,0)$
$(3'')\, \,Group\,III\, \,\gamma:\,Y(\pm1,0,0)$
$(3^{*})\, \,\,Group\,III-i:\,Z(0,\pm2,0,)$
$(4)\, \,\,\,Group \, IV:\,X(0,0,0), \,Y(0,0,0)$
$(5)\, \,\,\,Group \, V:\, Z(0,0,0)$

なおここで一例として $X(0,\pm 2,\pm 1)$ を取り上げると、
$X(0,\pm 2,\pm 1)$とは、$\,X(0,2,1),\,X(0,2,-1),\,X(0,-2,1),\,X(0,-2,-1)\,$を一括して表すものとします。

 構成パーツの種類としては、51本組木19本組木、33本組木と5種類で同一であることに注目してください。
この点に関しては、今後この組木シリーズのパズルを議論するうえで極めて重要となってきます。



51-piece parts
Figure 3  55本組木構成パーツ木片3D CAD 画像


 さて51本組木を製作するという観点から、少し製作上の議論を深めることにしましょう。
ここで未加工正方柱形状の構成パーツ木片の底面の正方形の辺のサイズを $2S$ とします。
切り欠きのディメンジョンは、Figure 3 に示すようにすべて上記サイズ $S$ で規定されたものとなってます。
さらにその切り欠きの加工の内容は上記の $Group$ により異なります。
すなわち Figure 3 から、$Group \, II \, \alpha$, $Group \, II \, \beta$, $Group \, II \, \gamma$ と  $Group \, II \, \delta$ は最も単純な切り欠きを施工したパーツ、$Group \, VI$ と $Group \, V$ は2段の切り欠きを施工したパーツ、$Group \, III\, \alpha$ 、$Group \, III\, \beta$、 $Group \, III\, \gamma$ と $Group \, III-i\, $ は3段の切り欠きを施工したパーツであることが認識できると思いますが、いかがでしょうか。

 ここで構成パーツ木片での切り欠きの位置とサイズに関して記載します。
Figure 4 をご覧ください。
切り欠きには切り欠きを入れる方向により2種類、切り欠き A, 切り欠き B に大別されます。
切り欠きの形状パラメータとしては3種類あり、切り欠き長さ ( notch length )、切り欠き深さ ( notch depth )、切り欠き幅 (notch width ) となります。
構成パーツの $Group$ ごとに説明します。
Figure 4に示すように、$Group \,II$ では、中央に切り込み長さ $2s$, 切り欠き幅 $2s$, 切り込み深さ $s$ の切り欠き A が1個存在します。
$Group \,V$ では、中央に切り込み長さ $18s$, 切り欠き幅 $2s$, 切り込み深さ $s$ の切り欠きが1個と、この切り欠きに直交して中央に切り込み長さ $s$, 切り欠き幅 $s$, 切切り込み深さ $s$ の切り欠き  B が1個混在します。
前者の切り欠きは、$Group \,II$ の切り欠き A と類似の形状で9倍の切り欠き長さを持つので切り欠き 9A と呼ぶことにします。
$Group \,IV$ では、中央に切り込み長さ $18s$, 切り欠き幅 $2s$, 切り込み深さ $s$ の切り欠き 9A が1個と、この切り欠き 9A に直交して中央に切り込み長さ $2s$, 切り欠き幅 $s$, 切切り込み深さ $s$ の切り欠きが1個混在します。
後者の切り欠きは、$Group \,V$ の切り欠き B と類似の形状で2倍の切り欠き長さを持つので切り欠き 2B と呼ぶことにします。
$Group \,III\,\alpha,\,\beta,\,\gamma$ では、構成パーツ中心から中央が $2s$ シフトして切り込み長さ $2s$, 切り欠き幅 $2s$, 切り込み深さ $s$ の切り欠き A が2個、切り欠き A に直交して中央に切り込み長さ $2s$, 切り欠き幅 $s$, 切切り込み深さ $s$ の切り欠き 2B が1個混在します。
一方、$Group\,III-i$ では、構成パーツ中心から中央が $3s$ シフトして切り込み長さ $4s$, 切り欠き幅 $2s$, 切り込み深さ $s$ の切り欠き 2A が2個、切り欠き 2A に直交して中央に切り込み長さ $2s$, 切り欠き幅 $s$, 切切り込み深さ $s$の切り欠き 2B が1個混在します。


51-piece notch
Figure 4  構成パーツ木片での切り欠きの位置とサイズ


 これに対して、$Group \, I$ は立方体2個と円柱が合体した形状となっていて他の $Group$ に比較して特異的です。

$Group \, I$の製作は如何にするか想像できますますでしょうか。
加工工程としては、下記となります。

(1) $Group \, II$と同一の切り欠き工程
(2) 次に2段の切り欠きを加工する工程($Group \, V$の中央部の断面サイズ$S \times S$ の正方柱に加工する工程)
(3) 上記断面サイズ $S \times S$ の正方柱を円柱に研削加工する工程

という様に結構手の込んだ加工工程となります。
特に工程(3)は一般的には機械加工が困難で手加工となります。

 それでは Figure 151本組木をどのように分解するのでしょうか。
あるいは Figure 3 の構成パーツからどのようにして51本組木を組み上げるのでしょうか。
この分解と組み上げに関しては、別の記事に記載します。
それまでの間は、 Figure 1 と 3 を比較しつつ想像力をフルに使っていただき分解手順をご検討いただければ幸いです。

[参考書籍]
[1] Pieter van Delft and Jack Botermans, Creative Puzzles of the World (1978)
[2] Jerry Slocum and Jack Botermans, Puzzles Old and New (1987)

木製パズル(その6-3):33本組木 続編その3

「木製パズル(その6-3):33本組木 続編その3」では、33本組木の分解の 3D CAD アニメーション動画を掲載してます。
「木製パズル(その6-1,2):33本組木続編その1,2」の分解手順の図解記事と合わせてお読みください。


 
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nonchan

ブログデビューしたてのビギナーです。 定年リタイア後、ルーティンとして週5のウォーキングと週2のスイミングを課してます。 ブログでは、わたし流の生活から派生した事項を載せるつもりです。 まずは、ウォーキング中に撮影した自宅付近の植生の写真を載せます。 趣味の木工も掲載しようかと考えています。