大東大オープンカレッジ陶芸教室の第4報です。
小皿の記事を書きます。

 小皿を成形する製法も、盛皿同様タタラ作りです。
作製手順は、下記となります。

1)     タタラの準備
2)  タタラに型紙を押し当てて約mm円盤状にカットする。
3)  タタラ片面の縁周囲にに粘土紐(皿の深さ程度の直径を持つ)をのせる。
4)  3) を裏返す。
5)  その中央にたたんだ布を押し付けくぼませ皿状にする。
6)  (乾燥、粘土紐を除去する。)
7)  模様を考案し、厚紙に転写後カットし型紙とする。
8)  その型紙を皿に押し当て、皿の粘土に刻印を打ち模様をマーキングします。
9)  絵付けする。
10) 釉薬をかける。
11) 焼成

生徒は手順 2)-5),7)-9)を、先生が手順 1), 6),10),11)を実行しました。
手順6) は、推定です。
前回の大皿との違いは、手順7), 8)が異なることです。
前回は模様を粘土上に転写し削りました。
今回は模様を厚紙に転写後カットし型紙を作り、その型紙を粘土に押し付け段差を作ることでマーキングしました。
厚紙をカットするのは手間がかかりそうでしたので、繰り返し模様としました。
当然その繰り返し単位だけの型紙を作れば済みます。
模様は、平安期の千鳥格子文様 [1] と言われているものにしました。
Photo.1 に手順  7)の全体の模様と繰り返し単位であるカット後の型紙の写真を示しました。
この繰り返し単位の部分に、ピンクの絵付けをしました。
このときも時間上の制約にて、丁寧な輪郭線と重ね塗りができなかったのが悔やまれます。

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Photo.1  平安期の千鳥格子文様と言われている模様
左:繰り返しの単位模様、 右:左の繰り返し単位をつなげた模様


 次に最終的な完成品を示します。
Photo. 2 をご覧ください。
皿のサイズは、およそ直径120mm、高さ20mmです。
色付けが丁寧にできなかったため、ピンクに斑がでてます。
型紙を粘土に埋めたため、模様の輪郭線はかろうじてでています。
皿底の銘は、” INF. "としました。

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Photo.2 平安期の千鳥格子文様小皿
右:皿底の銘:” INF. "

 小皿は、別にもう一つ焼成しました。
Photo.3 に手順  7)の全体の模様と繰り返し単位であるカット後の型紙の写真を示しました。
左の写真からわかりますように、単位の模様は飛翔する鶴と松の模様です。
これを用いて、右のように中心に3松模様とその周囲に鶴3羽が飛翔する模様にいたしました。
松には緑の色を付けました。
鶴は適合する色が無かったため、色付けはしませんでした。

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Photo.3 鶴に3松の模様
左:繰り返しの単位模様:飛翔鶴と松、 右:中心に3松とその周囲に輪状の3羽の鶴の模様

 完成品をPhoto.4に示します。
皿のサイズは、上記同様およそ直径120mm、高さ20mmです。
こちらの皿は、上記の皿には無い脚をつけているのが形態上の差異となります。
当初の予定とははずれ、松は3松にするスペースが確保できず2松になってしまいました。
鶴に2松です。
また鶴の輪郭線ですが、色付けもできず型紙を押し付けたときの段差だけなので明瞭さに欠けるのが心残りです。
こちらの小皿には、右の写真に示しますように底に脚を3脚付加しました。
皿底の銘は、こちらも”  INF. "としました。

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Photo.4 2松と鶴模様の3脚小皿
右:皿底の銘:”  INF. "

 最後になりますが、平安期の千鳥格子文様に関しまして触れます。
平安期の千鳥格子文様Photo.5に示します。
これは、ネットサイト [1] からの引用です。


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Photo. 5 平安期の千鳥格子文様:引用 [1]


上記サイトには、下記のような興味をそそられる記載があります。

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この千鳥格子文様は平安時代の重要な絵画にたくさん見られる。
赤と黄の組み合わせの派手な色彩で四天王寺所蔵の「扇面法華経冊子」の下地や「伴大納言絵巻」に描かれている群集の着物柄に見る事ができる。
貴族の衣装では見られないので、庶民に流行していたと思われる。
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 なお私自身もネットサイトで「扇面法華経冊子」と「伴大納言絵巻」を調査しましたが、まだこの千鳥格子文様にいきあたっていません。
引き続き調査したいと思います。


ネットサイト