前回の記事の中で千鳥格子(ハウンドトゥース チェック ( hound's-tooth check )) の中に日本の伝統的文様の千鳥がわたし流には見出し得ないということを申し上げました。
その後webで調査していましたら、世の中の人の理解の中にどうやら2説あることがわかってきました。
今回の記事ではこれに触れます。

 結論から申しますと、2説とは下記のとおりです。
説A:千鳥の飛ぶ姿
説B:千鳥の足跡
ここで説Aがメジャーな説であり、説Bがマイナーな説となります。

 まずは説Aからご説明申し上げます。
Photo. 1(a)は、wikipedia上のhound's-tooth check [1] に掲載されている文様を示しています。
従いまして、これが英国で生まれた典型的なhound's-tooth checkと考えて良いのではないかと思われます。
ここで十分注意をしなくてはならないことは、この写真が典型的ではありますが、伝統的なhound's-tooth checkでないかもしれないという可能性です。
実はhound's-tooth checkも一通りではなく、異なるパターンもあります。
しかしながら、今回はこのパターンで話を展開します。

Hundtandsrutor

Photo. 1 hound's-tooth check (引用 [1]


 さて千鳥と呼ぶ日本の伝統的模様である千鳥模様は、Photo. 2(a)であると考えていますが、皆様はいかがでしょうか。
そもそものわたし流の疑問は、Photo. 1の中にphoto. 2が見出し得ないのではないかのかということでした。
Photo. 2(b)をご覧ください。
これはとあるアクセサリーショップの商品例で、hound's-tooth checkをモチーフとしたピアス(千鳥ピアス)です。
hound's-tooth checkの中に敢えて千鳥の飛ぶ姿を見出そうとした場合の一つの解であると考えられます。
そもそもチドリとは、鳥類チドリ族チドリ科の鳥の総称です。
Photo. 2(c)チドリ科の鳥の生態写真 [4] を載せました。
この写真の鳥が、チドリ科の何であるのかという特定は[4]ではなされていませんでした。
Photo. 2 (b)(c)を比較しますと、嘴は似ているとはいえませんが飛翔する姿、特に羽の形態は似てなくもないという感想ですが、いかがでしょうか。
2本の風切ばねと尾羽が形成する形状はよく似ているといえます。
この羽の部位をデフォルメすると、Photo. 2 (a)に示す伝統的な千鳥模様にもなり得ます。
従って、嘴の部位を除けば説Aは説得力があります。



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                         (a)                              (b)                              (c)

Photo. 2 (a)日本の伝統的な千鳥模様(引用 [2])、
(b):千鳥のピアス(引用 [3])、(c)チドリ科の野鳥の生態写真(引用 [4]

 次に説Bに移ります、、すなわち足跡説です。
この説は、OKWAVEの千鳥格子Q&A[5]の遣り取りの中にあった説です。
チドリの足跡をwebで調査しました。
Photo.3 (a)をご覧ください。
チドリ科のシロチドリの足跡が、他の鳥類と比較して示してあります。
カルガモとシロチドリ以外の鳥は、すべて4本です。
他方カルガモとシロチドリは3本です。
専門的にはチドリ科の足跡の最大の特徴は、三趾足(さんしそく、英:tridactyl)である点です [7]
実際の足跡は、これぞチドリ科の鳥の足跡というような特定されたものには行き当たりませんでした。
しかし恐らくはチドリ科の鳥の足跡であろう写真はありました。
Photo.3 (b)をご覧ください。
この写真には、前述した三趾足が印象的なものとなっています。
従ってPhoto.3 (b)はチドリ科の鳥の足跡と考えて間違いないと思われます。
Photo.1Photo.3 (b)を比較しますと、説Aで2本の風切ばねと尾羽と想定した形状をこの三趾足とみることができます。
しかしながらPhoto.3 (a) でも (b) でも、各3本の趾は等長です。
他方Photo.1では明らかに真ん中の趾(第3趾)は、他の2本より短く描かれています。
また説Aで嘴と想定した図形は、この説では説明が付きません。
従って、説Bには説少々無理があります。


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                                  (a)                                                           (b)
Photo. 3 (a)鳥類の足跡例(引用:[6])、 (b)チドリ科と推定される鳥の足跡(引用:[8]

 以上の考察より、わたし流では説Aがより合理的と考えられます。
しかしながら、説Aにはまだ十分満足されるものになってないような気もします。
どうやら日本には平安時代に千鳥格子と呼ばれるような文様があったという説もあるようです。
現在この辺りを調査しておりますので、何か新しい事実がでてきたら記事にします。



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