このレポートでは、日本国内でのCOVID-19の感染者数の今後の動向に関して考察したいと思います。
まずは Figure 1 をご覧ください。
この図は日本国内でのCOVID-19の累積感染者数の対数を縦軸に取り、日付の関数で示したものです(以降、累積感染者数対数 vs. 日付グラフと呼ぶことにします)。
3月22日以降、4月3日までの累積感染者数をプロットしています。
数値は、厚労省の公示データを参照しています [1]。
まずこの対数表示系では、累積感染者数はほぼ直線的に増加していることがわかります。
つまり累積感染者数は、指数関数的な増加を示しています。
図中の直線は、このプロットを直線で回帰分析した結果を示しています。
この図は、累積感染者数の変化が今後もこの回帰直線を維持するのであれば、4月17日には累積感染者数が10000人に到達するということを示しています。
今日4月5日の時点で累積感染者数10000人を超えている国は15か国ありますが、日本もそのグループに入ることになります。
4月17日までは、あと2週間程度となります。
今日ここでの議論は、今後2週間累積感染者数の変化がこの回帰直線を維持するのかどうかということを世界各国のCOVID-19データから考察したいと考えています。
縦軸に累積感染者数(対数表示)を横軸に日付としたグラフ
考察の手順としては、下記となります。
なお、横軸に日付を縦軸に新規感染者数をとった縦棒グラフのことを以降新規感染者数の縦棒グラフとよぶこととします。
[1] 累積感染者数が10000人を超えかつ新規感染者数の縦棒グラフがピークを過ぎている国を特定すること
[2] その国の累積感染者数グラフを解析すること
上記の手順に使用するCOVID-19データベースとして、下記のサイトを参照しました。
[2]に関しては、札幌医科大学:人口あたりの新型コロナウィルス感染者数の推移(国別)
手順 [1]
上記WHOのCOVID-19データベースから、中国、韓国、イタリア、オーストリア、オーストラリアの5か国が新規感染者数の縦棒グラフがピークを迎えてると判断しました。
Figure 2 をご覧ください。
上記5か国の新規感染者数の縦棒グラフです。
これらの国では、新規感染者数のグラフがピークを迎えてると判断してよいものと思います。
横軸に日付をとっています
次に上記5か国の累積感染者数グラフを見てみましょう。
Figure 3 をご覧ください。
これは、上記5か国の人口100万人当たりの累積感染者数の対数を日付の関数で示した図です(以降、人口100万人当たりの累積感染者数対数 vs. 日付グラフとよぶことにします)。
どの曲線も単調に増加しています。
しかしその勾配は、初めは急峻でその後徐々に減少するという一般的傾向が見られます。
図中各国の累積感染者数のグラフに対して、直線が2本描かれていることにご注目ください。
一つの直線は、人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてからの比較的急な勾配を表す直線です。
残りの直線は、上記直線のあとの勾配が緩和する付近でプロットを近接する直線です。
上記2本の直線の交点を求めることにします。
その交点が、図面上に国ごとに示されています。
例えば中国では、"China 2/13_12 days"と表記されています。
これは、”その交点の日付が2月13日であり”、かつ”人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてから12日目である”ちうことを表しています。
人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えてからの日数は、最短が韓国の9日目であり、最長はイタリアの21日目となっています。
Figure 3 人口100万人当たりの累積感染者数対数 vs. 日付グラフ:引用サイト [3]
縦軸は人口100万人当たりの累積感染者数の対数
上述した交点が何を意味するのかを Figure 2 のグラフ上で確認してみましょう。
Figure 4 をご覧ください。
Figure 2 の新規感染者数グラフに、交点の日付を表示させました。
新規感染者グラフのピーク付近の位置をほぼ示しているといってよいと思いませんか。
図中の日付は、Figure 3 で求めた2直線の交点の日付を示しています。
ここで得られた経験則のポイントを整理しておきます。
経験則 (1) 累積感染者数が10000万人を超えている場合には、人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内で新規感染者のピークを迎える傾向がある。
経験則 (2) 人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフの回帰分析した直線の勾配を維持するケースもあるが、そうでない場合もある。
経験則 (1) は、これまでの説明で納得していただけると思います。
経験則 (2) を捕捉しますと、下記となります。
(2)-1
中国、韓国、オーストラリアでは"人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフの回帰分析した直線の勾配を維持するケース"に該当します。
(2)-2
イタリア、オーストリアでは、"人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超えた時点から2から3週以内では、累積感染者数対数 vs 日付グラフの回帰分析した直線の勾配を維持するケース"に該当いたしません。
最後に Figure 1 に戻ります。
人口100万人当たりの累積感染者数が10人を超える時点とは、日本に翻訳すると累積感染者数が10*1.3億/100万=1300人を超えた時点すなわち3月26日となります。
ここから計量して2-3週とは、4月9日から4月16日となります。
ここで経験則(2)-1を適用しますと、Figure 1の回帰直線を4月17日まで外挿しますと累積感染者数は10000人と算定されます。
ここで経験則(2)-2を適用すると、10000人には到達はしないということになります。
むしろ、大事なことは次の点です。
ここで経験則 (1) を適用すると、4月16日までには新規感染者数グラフがピークを迎える可能性があるということになります。
あくまで可能性にとどまりますが、明るい材料であるかもしれません。
[ 参照サイト ]